スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
全293件中、121~140件目を表示
父親と観たのですが…
本来なら父親とだけは観たくないタイプの映画です。
2年前の同じくアカデミー作品賞受賞作『それでも夜は明ける』を観た時も思いましたが、“観る価値がある”ということは重々分かります。ですが、テーマがテーマだけにどうしても“好き”にはなれません。
映画には何より楽しさを求める私は、こうした作品とどう向き合っていくべきか、近ごろよく考えます。
地道な作業が実を結ぶという教科書のような話
記者たちの地道な作業に呼応するように、物語も淡々と進む。 彼らを過大評価することも、取り立ててヒーローに仕立て上げていないことにも、好感が持て る。
スポットライトは、四人編成のチーム。 そもそも聖職者の性犯罪を追う事になったのは、新任局長から「別の枠で取り上げているコラムをこのままに終わらすのは惜しい」との意見があったからで、この人の鋭い着眼点による功績が大きい。
そして調べるにつれ、驚愕の事実が明るみになる。教会がもみ消した聖職者の性犯罪率が、予想を遥かに超えて多かったのだ。 聖職者自体の数が、一地域に対して多いことが数字を押し上げているのこともあると思う。
その数字に辿り着くまでの地道な地道な作業。教会関係者の名簿に休暇や移動が含まれていたら、それは犯罪を犯した合図と推測し、頁を繰りつつ拾っていく。
それが長年聖職者の犯罪を心理学的要素から追ってきた研究者のデータと見事一致。そんな物的証拠とも言えない手がかりを頼りに、孤軍奮闘している弁護士や、被害者の会の助けを得て、被害者への取材にこぎつき数年がかりで調べあげていく。
聖職者による未成年への性犯罪は、彼らに宗教や地域や親への不信を植え付け、大人になってからも誰にも言えない恥辱と、永遠に消えない怒りで悩ます。元からゲイを自覚している少年であっても、それは変わらな い。
新聞記者から教会への糾弾は、地域の名誉を傷つけ、地域のつながりを断つことにもなるため、もみ消しに関わった弁護士や教会関係者から圧力を受ける。
命を狙われるとか、派手でドラマティックなことは起きない。 だが、文字通り生活や人生をかけて、罵詈雑言や拒絶に立ち向かう彼らの姿は、静かに静かに胸を打つ。 信念をかけられる仕事に出会える人はどれだけいるだろう。
取材対象者の家の裏に、さりげなく教会が建っているショットがある。
いかに教会が地域に密着しているかがよくわかる。
新任局長はユダヤ人で、 彼は第三者の目で、カトリック教会の闇に気 がついた。そういった人種多様なアメリカの複雑な社会構造も言葉の端々にあらわれ、勉強になる。
後半、数年前に被害者の会からボストングローブに送られた資料が局内で雲散霧消していたことが発覚。故意ではないとはいえ、それは着任間もなかった現スポットライト編集長の責任によるところだったと判明。 皆が言葉を失うなか、彼にかける局長の言葉が印象的だった。
「私たちは暗闇のなかを歩いていて、正しい道はわからない。ある日突然に光が指して自分の歩く道がわかる」と。
これはどんな仕事にもいえる。例えば原発などもそうだけど、事故が起こってからとんでもない過ちをおかしたことに気がつく。
それは電力会社、科学者、利権を受け入れた原発村、安全神話を鵜呑みにした社会、なにも考えず惰性で生活してきたすべての人間に当てはまる。
常に考え疑問を投じ、自分で調べること。それがいかに大事かを改めて教えてくれた、教科書のような話だった。
たまたまラッキーだっただけ
劇中にあるこの言葉の意味の重いこと。
宗教とはなんのためにあるんだろう?
マスコミはどんな役割をしてるのだろう?
スクープを追うことで、大きな問題を世間に知らせるけど、その過程にある悲劇は些細なことになってしまうのか?
役割があったとしても個人的には辛いことで、葛藤があったと思うし見てとれる。
よかった。
アメリカの宗教、教会と市民、人種の関係性がわからないと、この物語の真意がわからない。
私もさっぱりアメリカの事情がわからないから、初めの方は戸惑ったが、観ているとだんだん分かってきて、最後にはよくわかるようになる。
事前に予習しておくと、もっと面白く観れたかな。
でも、よかった。チームワークが熱い!
性的描写は一切なし
もちろん、取り扱うのは性的事案ですが、その割に描写はなく、記者たちが奮闘する様子が淡々と描かれており、その中にポツポツと卑猥な言葉は散りばめられてますが、それが逆に想像力を掻き立てられて良かったです。アカデミーの結果も納得です。万人受けする作品です。
流石の作品賞
レヴェナントじゃないのかと疑問に思っていたものの、実際に両方見て実感。役者の演技はこちらも素晴らしいが、題材が特に素晴らしい。
日本で生活していて、宗教の存在の大きさは余り感じたことがないので共感は出来ないけど、学校の先生がみんな犯罪者でした、みたいな衝撃なんだろうか。キリスト教圏における教会の存在感、身近な心の拠り所を失う辛さと失望の怒り、また自分が狙われたという羞恥心…事実に基づいた映画でも単にイベントを知らしめるのみならず、人々の様々な心の動きを感じることが出来る、本当に面白い映画だった。
社会派
アカデミー作品賞受賞ということで、ようやく見てきました。
題材は大きいけど語り口は静かというか地味。
でもそこがリアル。
一度見ただけではいろいろ理解できない部分あったけど、とにかく意義のある作品ってことはわかった
大丈夫なんでしょうか?
キリスト教ですよね?あの昔からある。
しかもカトリックはローマ法王の方のやつですよね?
これ、大丈夫なんでしょうか?
正直なところ、映画批評する以前にスキャンダルの規模がデカすぎて、引いてしまった。しかもこのボストングローブのスクープが10年以上前の出来事。にもかかわらず、その後、カトリックが大きな痛手を被ったようには思えないし、現実この映画を観るまでこれらの事実を知ることもなかった。
とんでもないことではないだろうか?
しかも、映画終わってからのテロップによれば世界規模のスキャンダルだ。
もう一回言いますが、とんでもないことであって。
この事実が公表されて以降も特にカトリックがどうこうなったという話を聞かないのが宗教の恐ろしさなのか?
そう考えると、この作品がアカデミー作品賞を獲ること自体、すごいことだと思う。映画の題材のスケールが映画を凌駕するという珍しいパターン。
よい映画なのですが
実は、この映画に行く数日前に「祈りのちから」という映画の試写に行き、友人と「ホントに下手な映画やな~」と意見が一致し、出来のいい映画ってどんな映画だろうか、と話し合った。
その時に挙がった「出来のいい映画だったらこう撮るかも」というアイディアが、ことごとく、この「スポットライト」で使われていた。
例えば「信心深いおばあちゃん」みたいなキャラは最後のほうに一瞬しか登場しないし台詞は一言だけ、とか、ラストシーンは「何か始まったとたんにバッサリ切る」ように終わるのがいい、等々。
・・・つまり、この映画は確かに<出来のよい映画>なんだけど、その「良さ」の仕掛けが、読めてしまうんだよなあ~。
いい映画なんだけど何となくレビュー評価が「3プラス少々」で終わっている原因は、このあたりにあるのかもしれない。
良心
衝撃的な事実を暴いた記者たちの地道な努力。
問題が複雑で解決は困難に見えたが、良心に従って行動した人々が
力を合わせてスクープを可能にした。
派手な見せ場は無いが、分かりやすい展開と出演者の演技に最後まで
引き付けられた。
今回"正しい側"に立って行動した人物にも、過去には"あの時こうしていれば
良かったのに"という後悔するべき事があったりして、単純な勧善懲悪ではない
感じがした。しかし他人がそれをいくら責めても仕方がない。今何が出来るかを
共に考え、実行出来た事が素晴らしい。
ドキドキした。
スクープがどの様に報道されるのかが、ドキドキしながら見た。
実際の記事と報道の様子が、映画に出なかったので、アメリカ社会にどの様な衝撃を与えたのかよく分からなかった。
アメリカ社会では今回のスクープは常識なのかもしれないけど、日本人としてはもどがしさを感じました。
その辺の補足は、パンフレットを読めば良いのだろうけど、売り切れてました…(^^;;
魂の仕事
教会関係者が隠蔽していた神父の子供達に対する性的虐待を暴いた記者チームの話。
ここまで蔓延していていたのに公にならないものか。
ネットが発達し、情報がものすごいスピードで広がっていき人々が簡単に情報を得られる時代になった今でも多くの人が未だ知らない重大なニュースはあるのだ。
記者たちがリスクに脅かされながらも魂を込めて全力で調査し、書き上げた記事が発行され多くの被害者の方の救いとなった瞬間、鳥肌がたった。
ストーリー、展開等に迫力はないが観たものにしっかりメッセージを植え付ける映画だった。
『真実を突き止める記者たちの物語』
話しは記者側が教会の真実を暴く過程をメインに進んでいき、教会側の話しはほとんど出てこない。そのため、観客側も記者と同様に真実に少しずつ迫っていくよう感じられる。海外において教会というのがどれほど大きなものなのかは今までたくさんの映画を見てきたからよくわかる。それほど大きなものに闘いを挑む記者は本当に素晴らしい。そしてやり遂げだことは本当に偉大なことで暴かれなければならいものであった。映画は2時間程度だったが常に惹きつけられていた。教会は恐ろしく何でもしてくるからやめとけなど何度も出てきたにも関わらず教会の脅しはほとんどなかったことは非常に残念。教会と記者の対立感というのはあまり感じられなかった。にしても記者のやり遂げたことは映画のラストで感動がある。やっぱりココは海外なんだなぁと感じる。どこにでも汚職はあるわけでそれを真実にしない限り汚職は続く。日本は芸能ばっか取り扱っているように思える世の中であるためこの映画を見て欲しいとも思う。
全293件中、121~140件目を表示