スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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人は間違いを犯す
分厚い調査報道
2002年に「グローブ紙」が連載特集で報道した、カトリック教会の司祭による多数の性的暴行事件。アメリカ国内はもちろん、世界中のカトリック教会で同様の事件が起きており、組織的に隠蔽していた事が、この報道をきっかけに明らかになり、今でも追及されている。そのグローブ紙で調査報道を担当したチームの取材過程を追ったドラマが本作である。
多少、報道に携わっている者として、丁寧で分厚い取材過程が描かれていて、とても面白かった。この事件の根深いところは、映画の中で描かれている通り、カトリック教会だけの問題ではなく、地域全体が、性的虐待行為を見逃し、隠蔽に加担していたところだ。それは、報道機関も同じである。そんな中で調査報道を行なった記者たち、そしてそれを記録に残した本作に、素直に拍手を送りたい。
組織的に、あるいはコミュニティ全体で隠蔽された人権問題を、報道が明らかにして追及する事はとて大事で、報道の重要な役割だ。その事を、改めて社会に投げかけている作品だった。
正義感と信仰の葛藤
教会は無くなるが信仰は無くならない
カトリックの方が神父は神であるという認識を思っている方がいると初めて知った。吹き替えで見たためその辺の翻訳が少しずれているかもしれないが思ってもみないことだった。
何より9.11のすぐ後に報道になるこれは…
非常に素晴らしい作品
派手さはないが、見ごたえあり。
映画館で見られて良かった
アカデミー賞作品賞&脚本賞を受賞した今作は実話を元にしたフィクションで、予告や作品の紹介を見てかなり期待して見たが期待以上に良かった!俳優たちの演技も良かったが、脚本と編集が特に良く、テンポが良くてグイグイ引き込まれていき、あっと言う間にラストを迎えた。確かに派手なシーンはなく楽しい映画ではないが、非常に見ごたえがある良い作品だと思う。特に出来上がった新聞が印刷発行されて世に出ていくシーンは興奮した。だいたい予想通りの展開で、最後まで意外なことは起こらないがそれでも素晴らしい映画だった。ただビデオでもう一度見たいかと言えば答えはNO!これは映画館で見たから良かったのかもしれないのでビデオやテレビでは見たくない。でもまだこの映画を見てない人で社会派ドラマが好きな人にはビデオでも良いから見てほしい。
最後に日本のマスゴミ関係者は偏向報道ばかりしていないで、この映画を見てジャーナリズムとは何かもう一度考え直してほしい。
真実を知るのが怖いのではない。信じたことを疑うことが怖いのだ。
つい忘れるが、我々は闇の中を手探りで歩いている。
そこに急に光りが射すと、ようやく間違った道に来たことに気付く。
2001年アメリカ・マサチューセッツ州ボストンの日刊新聞「ボストン・グローブ」のチーム「スポット・ライト」がある事件を調査し、記事にして公表するまでを丁寧に描いています。実話です。
事件というのは、カソリック神父による子供への性的虐待です。
カソリック教会は、事件を知っていながら、問題の神父(複数)を異動させたり、お金で被害者側を黙らせるなどしていた為、この事実が発覚するまで、かなりの年数が経っていました。
結果、とんでもない被害者数になっています。
この事件が発覚しなかった理由は、概ね下記の通りかと思われます。
1)カソリック教会が組織ぐるみで隠蔽していた。
2)殆どの被害者が貧しくお金で黙らせることができた。
そして本作を理解する上で、最も重要なこと。
3)キリスト教徒においての"神"の意味。アメリカ、そしてボストンの地域性(ほぼカソリック)。
が、理由に挙げられると思います。
アメリカの紙幣には「In God We Trust」と印刷されていますよね。
「我々は神を信じる」
これはアメリカ国家の公式なモットーですよね?
この事件が長らく発覚しなかったのは、勿論カソリック教会の腐った体質もありますが、もう一つは「聖職者がそんなことをする筈がない」という、いえ、そんなことを考えることすらできないほどの深い、深い、信仰心を持った人たちが住む国、そして街であったということだと思います。
この"深い信仰心""神"を理解しないと、本作の本当のテーマは汲み取れないように思われます。
例えば、マイケル・キートン演じる"スポット・ライト"チーフのロビーは、一度、この神父による性的虐待を記事にしています。
さらっと、軽く。
しかし、ボストンの地域性に縛られず、カソリック教徒でもない新編集長がマイアミから来て言うんです。
「この事件、もっと掘り下げるべきじゃないか?」
カソリック教徒のロビーは「とんでもなく重大な事件である」という、認識さえなかったんです。これ、上記した3)の理由を証明するエピソードだと思います。
光が、差した瞬間です。
当然こんな地域性ですから、記者達は色んな妨害にあい、事件を取材していくんです。
記者達がノートにメモをとっている姿が、新鮮でした。一つ、一つ、起こった事実を丁寧に書き取っていく。
大人になった被害者が数名、加害者もちらっとしか出て来ません。そして一番印象的なのは、起こった事件の"再現シーン"がないこと。
大人になった被害者への、聞き取り取材シーンのみです。
何故なら再現シーンは"想像"だから。
本作に好感を持ったのは、この点です。
ドラマティックな展開はありません。記者達を過剰にヒロイックに描いてません。寧ろ、ロビーのエピソードから、事件の一端はメディアにも責任があるという主張。
あ、なんだったら善悪とか、正義とかについて、何一つ言及していません。
ただ"事実"をありのままに伝えようとする、記者達の姿を淡々と描いています。
その判断をするのは、記事を読んだ読者。映画を観た、観客。
しかし逆に言うなら、私達は記者を通してしか、事件の全容を知ることができないということですね。
ここは言及せずに、含んでおきます。
ジャーナリズムの意味を、考えさせられる内容でした。
そして個人的に思うのは、本作は邦題のように"世紀のスクープ"を描いた作品でも、記者達の正義感を描いた作品でも、また、おぞましい事件を描いた作品でもないということです。
本作で描かれたのは、"恐怖"です。
聖職者から受けた性的な虐待は、「魂への虐待」と表現されています。
なぜなら、子供達は「神を失った」からです。信仰を失ったからです。
貧しい家の子供達にとって、教会へ行く意味、また"神"に縋る意味は、裕福な家の子より大きい筈です。
彼等は、生きる大きな"支え"を失いました。
その為、被害者達は薬に依存したり、中には自殺された方もいます。
記者達も、神を失いました。
もしかしたら、この事件の記事を読んだ人達も神を失ったかもしれません。
失わなくても、とてつもない"恐怖"を感じた筈です。
「おぞましい事件だ!やべ、こえー!」
でしょうか?
そうじゃないと思います。
本作で描かれてたのは、「世にもおぞましい事件を知る恐怖ではなく、"信じた何かを疑う恐怖"」です。
記者達の戸惑いと恐怖の向こう側に、自分のアイデンティティを根底から叩き壊され跪く人達の姿が見えました。
本当に、怖い映画でした。
やっぱ、映画館で観れば良かった!
アカデミー作品賞の中では、一番好きかもです。
あ、でも。
敢えて苦言を呈すれば、レイチェルの金髪ってあんまり好きじゃない。
あ、本作もマーク・ラファロは良いですが、私の中のベスト・ラファロは日本劇場未公開(DVDは出てるよ)の"それでも、やっぱりパパが好き!"だということを付け加えて、終了します。
※Catholic 日本では公式には「カトリック」と表記します。
マーク
大分味気ない。世界中のペドプリーチャーが告発される契機になった記事を書いたボストングローヴの記者達の奮闘っていうことなのだけど、別にただ普通に取材してる話。何か危険な目にあったり、妨害されたり、糾弾されたりとかは大してない。記者達は信仰と職業倫理の板挟みになって苦悩する、とかもない。ペドプリーチャーの犯した犯罪も描かれないから、禍々しさも薄め。まぁ描かなくて良いんだけど、ペド神父さんのコワイ顔写真くらいは見せて欲しかった。敵の顔がはっきりしない。それが実話だからというのは、理由にならなくて、単に脚本と演出の問題。警視庁は桜の代紋背負った金看板やbyまむしのゴロ政的に、カトリックはどデカイ会社で、ゴットファーザー3も敵はバチカンにいたくらいで、ロクなもんじゃなくて、教区っていう仕組みとか、その辺りの構造とかをもうちょっとちゃんと描いて欲しかった。漠然と、枢機卿と、その先にある組織全体が敵って話になってるので、色々ボヤけてて今ひとつ。統計的に神父さんの6%がペドっていう、真偽不明なトンデモ情報あり。
信仰とはなんぞや
同時多発テロと同時期にこんな大きな犯罪が明るみになってたとは知らなかったし、カトリック教会が恐ろしくなった。
記者たちが、見て経験した事しか映像になっていないのでよく映画の題材となってる性犯罪や幼児虐待かと軽く見がちだけど、
強大な権力を持った組織が性犯罪を何十年にも渡り隠してやって来たと、もし現場の記者としてその事を知ったならゾッとすると思う。
実際エンドロールで鳥肌がたった。
アメリカ人の生活に信仰と教会がこんなに根付いてるとは思わなかった。日本の神社仏閣とお坊さんとは意味合いが違うのだな気付くまで、早く訴えれば良いのにと思ってしまった。
性犯罪なんて合う確率低いだろと思いがちだけど、デスクが言うようにそうじゃなくて運が良かっただけという言葉にゾッとした。
見事に「見せない」
性的虐待の場面が1秒も無い。それでいて、どんな大変な行いであるかが、こちらにはまじまじ分かる。この凄さと怖さ。劇中で、「標的は教会そのもの」という台詞があったが、この事実も描かれた物語も「その個人」でなく「システムそのもの」を見ている。双方のリンクが素晴らしい。
正義とは
教会という巨大組織に立ち向かう記者たちの姿は実に勇ましく、感銘を受けた。内容は、神父による子供たちへの性的虐待話と、なかなか衝撃的な話であるが、実際の話であるから、さらに驚きだ。本作では、彼らがどのように真実を突き止め公表するに至ったかが描かれており、真実とは、正義とは何か考えさせられる映画だと思う。
しかし、日本人受けはあまり期待できない作品だ。なんせ話題の中心にある教会は、無宗教の人間が多い日本では馴染みがなく、近所にあったとしても作品に出てくる彼らと私たちとでは、教会に対する存在意義があまりに違いすぎる。
彼らにとって教会や神父は信仰そのものであり、信仰とは人生の中核にあるといっても過言ではない。その中核にあるものたちのあまりに酷な裏切り行為。信仰を持つものだからこその衝撃であり、理解することはできても彼らと同じように感じ取ることは難しい。
終わり方がまた良いですね
お前は何をしていたか
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