「報道の在り方」スポットライト 世紀のスクープ おまつさんの映画レビュー(感想・評価)
報道の在り方
私自身はキリスト教徒でも他の宗教に強く傾倒しているわけでもないので「神聖であるべき神父が・・・」の部分は、相当ショッキングなのは間違いないだろうけど、そのスキャンダラスさの度合いは計り知れない部分があるんだけど、それにしてもよくこんなセンシティブでタブーとも言えるテーマを映画化したものだ、と感服してしまいました。社会的なインパクトや興行的なリスクなど考えるとその勇気は相当なものですよね。
アメリカで実際に起こった「多数の聖職者による児童への性的虐待」というあってはならない事件を映画化した作品なんだけど、派手な演出や脚色がない(たぶん)ことがさらに展開を鬼気迫るものにしてました。結局、こういう事件っていつも標的にされるのは家庭環境や経済的に問題のあるような社会的弱者で、必ずそこには自分の立場を利用し相手の弱みにつけ込むような非道な奴らがはびこっているんですね。
今、日本でも新興宗教の二世問題や芸能事務所の児童性虐待問題で揺れ動いていているんだけど、果たしてこういった由々しき問題が正しく報道され我々一般国民に伝わるのかな。結局、文春みたいな野次馬相手の媒体に、おもしろおかしく報道されて何も解決されないまま、また同様の大きな事件が起こるまで忘れ去られてしまうんじゃないのかな。
もう一つ考えさせられたのは報道の在り方について。勇気をもって社会悪に向かって新聞という媒体を使ってその実態を世間に知らしめた記者たち。これはこれで勇敢な行動なんだけどメディアって一方通行で加害者と言われてる人たちの中には言いたいことも言えずに涙をのんでる人もいるんだろうなって。もっと言えばこのほぼドキュメンタリーに近い映画もアカデミーまで獲って世界に向けてこの事件について問題を投げかけたんだけど、やっぱり映画も一方的な媒体でその裏にはいわれもない不利益を被っている人もいるんだろうなと思うと、本当に怖いことですよね。考えすぎかな・・・