「派手さは全く無いが、とても良い映画であった。地道な調査を行なっていった彼ら記者たちこそヒーロー」スポットライト 世紀のスクープ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
派手さは全く無いが、とても良い映画であった。地道な調査を行なっていった彼ら記者たちこそヒーロー
トム・マッカーシー 監督による2015年製作(128分/G)のアメリカ映画。
原題:Spotlight、配給:ロングライド。
米国で8年前に作られた映画だが、まさに今日本ではジャニーズ事務所の問題が取り沙汰されており、goodタイミングな映画であった。
この映画は、とんでもない神父がいただけで終わらせていけない、再発の防止のためには
カトリック教会の組織ぐるみでの隠微の証拠を示さねばいけないということで、新聞記者たちが頑張った物語。ボストンの地元新聞Globeの記者たちがカッコ良い、特に他社を意識し少しでも早く報道したい部下を冷静に抑えるウオルター・ロビンソンを演じたマイケル・キートンが。そして、米国の報道状況を羨ましく感じてしまった。
一方日本では文春がスクープしたが、日本の新聞やテレビはどこも、ジャニーズ事務所自体の関与や責任を追求する様な調査報道姿勢は見せず、ただジャニーズ個人の問題にして、風化を待っている様にも思えてしまう。英国BBCは特集番組を作ったのに。日本にはまともなジャーナリズムは存在しないのか?
この映画がとても良く、アカデミー賞(作品賞及び脚本賞)というかたちで米国で評価されただけに、日本の現状を悲しく感じてしまった。ジャニーズ性加害を含めて多くの被害者が、会見を外国特派員協会で行う理由が、悲しいことだが、良くわかってしまう。新聞社の良心や報道姿勢が、信用・信頼されていない。
まともな調査的?報道は、日本では週刊誌と外資報道機関に期待するしかないのか?
監督トム・マッカーシー、製作マイケル・シュガー、 スティーブ・ゴリン 、ニコール・ロックリン 、ブライ・パゴン・ファウスト、製作総指揮ジェフ・スコール 、ジョナサン・キング、 ピエール・オミダイ、ア マイケル・ベダーマン 、バード・ドロス 、トム・オーテンバーグ 、ピーター・ローソン 、ザビエル・マーチャンド、脚本ジョシュ・シンガー 、トム・マッカーシー。
撮影マサノブ・タカヤナギ、美術スティーブン・H・カーター、衣装ウェンディ・チャック、編集トム・マカードル、音楽ハワード・ショア。
出演
マーク・ラファロマイク・レゼンデス、マイケル・キートンウォルター・“ロビー”・ロビンソン、レイチェル・マクアダムスサーシャ・ファイファー、リーブ・シュレイバーマーティ・バロン、ジョン・スラッテリーベン・ブラッドリー・Jr.、ブライアン・ダーシー・ジェームズマット・キャロル、スタンリー・トゥッチ、ビリー・クラダップ、ジェイミー・シェリダン。
実際、週刊文春はすごいですよね。
硬軟あわせて、日本では屹立する存在ですね。
「スポットライト」の記者たちは、もう少し「硬」によった雰囲気ですが、この映画を成立させるアメリカのジャーナリズムは素直にすごいと思います。
地味ですが、心に残る作品でした。