「●現代版ダビデとゴリアテ。」スポットライト 世紀のスクープ うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●現代版ダビデとゴリアテ。
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カトリック教会というゴリアテをボストン・グローブ誌が撃つ。
まさにパンドラの箱。究極のタブー。
719年ぶりとなる、ベネディクト16世の自由意思によるローマ教皇の
生前退位は本件と無関係ではあるまい。
神父による性的虐待。
概要がわかった今となっては、教会の構造的な問題だろうと思う。
禁欲と独身性。
伝統という名の世間知らずさ。
教会の権威と厳格さ。
神父の性的虐待を追う記者。
やがて、それが氷山の一角にすぎないことがわかる。
確率論からすると、想像を絶する数字だ。
一方、グローブ誌は53%をカトリック信者の読者が占める。
それでも信念を貫き、真実を追う。
ターゲットも本丸に定める。
かつて、そのことを訴えていた人たちともう一度、接触する。
変わり者だと思っていたが、それは色眼鏡で見ていたから。
変わり者でなければ、噛みつけない相手だ。
信念を持って戦い続けた彼らと、
多岐にわたる詳細な取材で真実を世に問うた記者たち。
蛇足だが、その取材姿勢がリアルだった。
動揺して泣き出す被害者。
それでも口調は変わらない。
傾聴するが、同情しない。
冷静に、客観的に真実を追い求める。
それだけに、現場記者が感情を爆発させるシーンは刺さった。
スクープが他社に取られるかもってのもあっただろうけど、
いまも続く被害を1日でも早く止めたいという社会正義からだろう。
スクープ当日から電話が鳴り止まない。
電話の主は意外にも。
さらに蛇足だが、若い頃に新聞記者になろうと思ったことを思い出した。
こういう仕事がしてみたかった。
現実はそんなに甘くはないのだろうけど。
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