「妥当のオスカー受賞作」スポットライト 世紀のスクープ のむさんの映画レビュー(感想・評価)
妥当のオスカー受賞作
2002年にボストングローブという新聞社のスクープ部隊、「スポットライト」が、当時カトリック教会の神父が信者の子供に性的暴行を行っており、それは一部の地域ではなく、全国的に広がっており、これらの悪は裁かれず、水面下で眠っているぞ。というのを暴いた実話に基づく映画です。
マネーショートと比較されるんですよ。どちらも実際にあった社会問題を元に書いているので。比べ物になりません。圧倒的にスポットライトの方が良いです。
まず一つ。とにかくリアル。
こういう仕事人系の話を映画にすると脚色されてしまうんですよ。いや実際ホテルマンってそんな生き生き仕事してねぇよとか、現場の人がみると一気に冷めてしまうやつです。ただ今回の場合特に、実話に基づいているので、このリアリティ、というよりアクチュアリティみたいなのがすごく重要なのですが、周りの新聞記者関係者全員が文句無しでした。ドキュメンタリーに近いですね感覚的に。
でも見てて飽きない、人間ドラマ。
ドキュメンタリーってちょっと単調で眠くなっちゃう人多いと思うんですが、これはちゃんと人間の感情がスクリーンで生きてます。マークラファロが編集長に噛み付くシーンがあるんですけども、震えます。自分一人がいくら頑張っても社会の大きな壁を前には「ゼロ」である不甲斐なさが名演です。すごいです。
ラスト一点。
この、社会問題、日本ではあまり話題になってなかったかもですが、アメリカの人からするとかなり記憶に新しく、感覚でいうと、日本のサリン事件を映画化するようなものです。なので映画としての問題は、あまり語り過ぎない。なぜなら知っているから。でも知らない部分をしっかり語るというバランスが、こういった社会派映画、もっとも重要なのですが、このバランスが素晴らしい。最後のシーンがとにかくすごい。金融破綻のシーンを金融会社のオフィス移して、会社から人が流れ出て行くシーンを写すマネーショートとは大違いです。語らずに語る最後のシーン。
泣くか憤るか、無力さを感じるか。お任せします。