「生誕」エイリアン コヴェナント U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
生誕
「プロメテウス」から続く、エイリアン生誕の物語。
「エイリアン」自体がブランドであり、一世を風靡した作品でもあるので、その成り立ちを見たところで「へえ、そうだったのか」と感心するような事にはならないのだが…マニアにはたまらないのかも。
というか、今更感が強い。
「プロメテウス」もどんな話だったか、忘却の彼方だし、今作で初めてエイリアン然とした個体になったような演出まであった。
あらゆる動物に寄生し、そのDNAを取り込んで変異する。
のだそうだ…だから、なんだよ!
今更そんなネタはどおでも良くないかと、コアなファンではない俺などはそう思う。
ただ、このAIが保有する無限の時間ってのにはゾッとする。
現代において、AIの開発は著しくいよいよ人の領域にまで実用化されそうな精度だ。
良識という概念のないAIがAIを開発しだしたら、とてつもなく文明は加速するのだろう。
何世代か後の未来を予見してるようにも捉えられ、背筋が寒くなる。
物語的には緩やかすぎる滑り出しに、眠気に襲われる。
探査艇を爆破させた女性の言い分が、いかにも現代のソレっぽく「ぷっw」と吹き出しそうになる。
が…こいつがパニックになり過ぎてて、退路を絶たれるという緊張感が増すシークエンスのはずなのに、萎えて傍観してしまった。
…そう思えば、本作の人物造形はどいつもこいつもシックリとこず、なんだか薄っぺらいなとも思えてしまう。
エイリアンがもたらす脅威についても、ビクッとさせられる演出が多く、表層だけに留まってしまっていたようにも思う。
空気中に漂う微粒子がエイリアンの原型だったとして、他のクルーが無傷なのも腑に落ちない。
ビジュアルの完成度は高いので、エイリアンブランドの到達点としては、観る価値ありってとこだろうか。