「アンドロイドは進化を続ける?」エイリアン コヴェナント snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
アンドロイドは進化を続ける?
映画を観終わったあと、前作「プロメテウス」と本作はデヴィッドが主人公であり彼の成長を描いた物語である事が判明する。
それはオープニングでの若きウェイランド社長とデヴィッドのやり取りですでにテーマが提示されている。
前作では人間に近づこうとあれやこれや勉強してたデヴィッドも本作では神になろうとしていた。その野望は尽きる事がないというのが本作の真の恐怖。
こーしたデヴィッドの成長を軸に物語が描かれていくわけなので、本作にこれまでのシリーズにあったようなエイリアンとのバトルシーンやスリルを味わいたいという方には少々物足りないと思うかもしれない。
ただエイリアン好きへのファンサービスも随所にちりばめられている。
オープニングのタイトルロゴの出かたや、亡きジェリーゴールドスミスによるテーマ曲の使用、どことなくノストロモ号の内部を思わせる暗さ、そして何と言ってもエイリアンが一匹のみで人間を襲ってくるあたりは、一作目の「エイリアン」をかなり彷彿とさせ、個人的にはなかなか楽しめた。
以外だったのは本作でエイリアンの起源がとても分かりやすく明らかにされた事だ。長年観てきたエイリアンシリーズ、その起源は実はこんな話だったのかと、もう少し謎にして欲しかったよーな複雑な心境になった。
しかし物語のラストでアンドロイドがデヴィッドなのかウォルターなのか謎めいて終わるあたりはリドリースコットらしいなと思った。
気になるのは一作目「エイリアン」でのLV-426にあったエイリアンの卵はデヴィッドが設置したものなのか。だとしたらデヴィッドの行方は?そんな事をあれこれ考えさせるリドリースコットは今だ現役バリバリなのだなと。歳を重ねて今の自分ならエイリアンをこう描くといったクリエイティブ面での攻めの姿勢に、恐るべしリドリースコット!と思わざるをえない。