劇場公開日 2017年9月15日

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「SFホラーかくあるべき!」エイリアン コヴェナント nagiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5SFホラーかくあるべき!

2017年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

SFホラーとはこうあるべきである。『エイリアン2』の監督であるジェームズ・キャメロンは、リドリー・スコットは『エイリアン』シリーズを拡げすぎ、散漫になっている...とこの『プロメテウス』から続く三部作を酷評している。しかし、『エイリアン』シリーズは"SF"ホラーなのである。『エイリアン』シリーズ初期は"ホラー"映画でしかなかった。それらのSF要素など、ホラーという主題に施した表面的な装飾・仮面でしかない。つまり、言ってしまえばSF映画でなくて良かったのである。

SFというのは、ただの装飾ではない。SF作品の求めらる要素とは、「科学技術の高度の発達・進歩(ユートピア)によって明るみにされる、人間の本質・意義・問題」ではなかろうか。

それゆえに、『幼年期の終り』『2001年宇宙の旅』など、人類の究極的な進化を描いたA.C.クラークはSF界の傑作を数多く生み出した巨匠であり、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督での続編が決定した『ブレード・ランナー』はSF映画で最も優れた傑作の1つと言われ、そのドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』はSF映画史に残る傑作となったのである。

本作での「創造物」であるデイヴィッドの「創造者」としての狂気的な好奇心は壮大かつシリアスなものであり、まさにSF作品でしか描かれ得ないものだ。聖書を多数引用した人間と創造主である神とを接近させた主題は、かつての『エイリアン』シリーズにはなかった。

勿論、『エイリアン』シリーズ最大の魅力である、H.R.ギーガー(最近、亡くなった。この間横浜で回顧展が開催され、現在TOWER RECORD渋谷店で開催されている。)原案のエイリアンの造形の恐怖、ホラー的サプライズ(これは、多数のフォロワー的作品を産んだ。最近では『ライフ』。しかし、やはりこれは『エイリアン』シリーズの特権である。)には欠かさない。初期作へのリスペクトも見られる本作のそれは、往年のファンを魅了する。

初代『エイリアン』を作り上げたリドリー・スコットがおくるH.R.ギーガーの恐怖の世界による壮大なSFの世界は、ファンは勿論、誰しも必見である。

nagi