「彼らに世の中は厳しくも、一筋の温もりも…」人生は小説よりも奇なり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
彼らに世の中は厳しくも、一筋の温もりも…
LGBTについて叫ばれる昨今。
こちら2014年の作品で、パッと見の印象やジョン・リスゴー&アルフレッド・モリーナの好演でハートフルな感動作のように思うが、厳しい現実を表すように一石投じる。
39年連れ添う同性愛カップルのベンとジョージ。
2011年、NYで同性婚が合法化され、晴れて結婚。
親族や友人らに祝福され、これから幸せな生活が待っていると思われたが…。
音楽教師のジョージ。同性婚を理由に教会の音楽の職を失う。
長年住んでいたアパートからも立ち退き。
ベンは甥のアパートへ。ジョージは知人の同性愛警官カップルのアパートへ。結婚して早々、離れて暮らす事に…。合法化されたのに、皮肉としか言いようがない。
年金や財産などお金の問題もさることながら、特に頭を悩ますのは人間関係…。
知人のアパートに厄介になっているジョージは周りの騒音がうるさい。
甥のアパートで厄介になっているベンは…。画家のベン。四六時中家に居て、仕事が乗らない時はお喋りが続く。在宅ワークの甥の妻は仕事に手が付かない。気分が乗って画の仕事。甥の息子の友人をモデルに。息子は面白くない。それでなくとも部屋を使われ、不満が募る。つい、差別的な発言を…。
ゲイ疑惑や学校での問題…この息子も難しい内面を見せる。
なかなか会えぬ中、久々の再会。
キス&ハグ、お互い思い合い、添い寝…二人のピュアな姿が温かく微笑ましい。
ベンがアパートの階段から転げ落ち、片腕を負傷。もう画の仕事が出来なくなり、沈み込む…。
それ以上に心配なのは、ベンは心臓に病気を抱えている事が…。
甥宅で蓄積された不満やぎくしゃくした人間関係が息子のとある問題をきっかけに爆発。ベンはアパートを出る事に…。
またジョージと暮らせるアパートを見つける。
また2人の穏やかな生活が取り戻せると思った矢先…
唐突の展開。ベンが死去し、その後。
ある画家との出会い。ベンが遺した画。ジョージは…。
甥の息子の後悔と反省。彼にはある出会いが…。
悲しいだけでは終わらず、温かな優しさと感動に包まれる。