「普通の人々の切ない愛」人生は小説よりも奇なり りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
普通の人々の切ない愛
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39年連れ添った同性愛のカップルが結婚式を挙げた途端に、世間の逆風にさらされる・・・
タイトルや予告編から、なんだか可笑しくて笑える類の映画かしらん、と思って出かけました。
カップルのひとりは画家のベン(ジョン・リスゴー)、彼は年金生活者。
もうひとりはジョージ(アルフレッド・モリナ)、彼はカトリック教会で音楽を教えている。
しかし、同性婚を理由にその職を馘になってしまう。
生活に困り、いま住んでいる部屋を売って、安い部屋に引っ越そうという計画。
その間は、ベンは甥夫婦の部屋に、ジョージは同性愛仲間の部屋に厄介になることにしたが、部屋を売った金額は1万ドルと少し。
二進も三進もいかなくなってしまう・・・
というハナシ。
当初期待していたような笑える話ではない。
笑える話でないことは、映画が始まってすぐわかる。
ショパンの調べが全編を彩り、ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリナの瞳には相手に対する慈愛と深い哀しみが窺い知れる。
ただ愛しいひとと一緒に居たいだけなのに・・・
原題は「LOVE IS STRANGE」。
愛は奇妙なものかもしれないが、ふたりは奇妙でもなんでもない。
ただただ普通のひとびとなのだ。
最後もどちらかといえば、そっけない。
心臓に病を抱えていたベンが、あっけなく逝ってしまうのだ。
それも、ふたりで暮らせる安い部屋が見つかったにもかかわらず。
そんなそっけない終りが、この映画を心に残るものにしているかもしれない。
ただただ普通のひとたちなのだから、人生の終りなんてこんなものかもしれない。
あっけなく逝ってしまったベンだけれど、ジョージやベンの甥の息子には大切なものを感じさせ続けている。
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