ディーパンの闘いのレビュー・感想・評価
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2016年上半期の最重要作!
コレ本当に見事!
移民、言語、介護、いじめ、銃と暴力などの様々な問題を織り込んで、緊張感が最初から最後まで持続させている。
そして終盤の急展開、そしてラストのあのシーン。コレは実に衝撃的じゃぁ...
ターミネーター
なかなかの衝撃作だった。
家族ごっこは割りと順調に続いていくが、終始漂う不穏さがついに爆発する瞬間は恐ろしかった。
打ち上げ花火の音は銃声を想起させるが、実際にその音が響いてしまうのが悲しい。
「サンドラの週末」でも思ったけど、フランスの一部の現実って本当にこんなに荒んでるのか。
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家族を守る闘い。
2015年・第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品。
主人公ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターサン
は実際にスリランカ内戦時には青年兵士、その後フランスに亡命。
決してイケメンではない彼の(失礼!)静かな表情や振舞いに却って
心が波立つ。平和に暮らすことだけを願いパリ郊外の集合団地に
越してきた彼と若い女と親を亡くした娘の偽家族3人だったが…。
高倉健の映画に似てるなど感想をお持ちの中高年の皆様の気持ち
がすごく分かる、静かであればあるほどいつそれが噴出するかと
気が気でない。彼がいい夫でいい管理人でいい人間であればある
ほど、あぁどうか、この幸せを壊さないで欲しい…と祈るばかり。
母国で家族を亡くし、もう銃撃なんか見たくないと怯える若妻の
気持ちも、学校に置き去りにされるんじゃないかと後を追う娘の
不安も、難民になったことのない自分には分かるはずもないのに
怖すぎて泣きたくなるのだ。この国は安全?なはずだったのに…。
別の移民達が起こす暴力や抗争が巻き込まれたくない人間を勢い
巻き込んで恐怖へ突き落とす。彼らとの優しい時間や会話があれ
ばこそ、後半の悲劇はどこへ逃げようが難民の闘いは終わらない
ことを指し示す。英国に行けば安全?いやそういうものでもない
だろうにと思うのだが、ディーパンの初笑顔には泣けてしまった。
(負けるなディーパン!暴力に屈せず、家族と平和を守り通せ!)
家族のカタチ。
フランスのギャングスタの生の実感の乏しい刹那的で無軌道な生き方と、紛争移民の生の渇望と異国社会への帰属や受容訴求を対比して描いているように見えた。
戦友の遺体を荼毘に付した後、紛争で家族を失った一人の兵士は紛争の先行きに見きりをつけ、身分を偽装して第三国へ逃避するために、見ず知らずの女と親を紛争で亡くした少女と一緒に家族を装うことになるところから物語は始まる。
家族ってなに?夫婦ってなに?親子ってなに?
家族を守るってどういうこと?
逼迫した状況の中にそんな切実な問題提起が溢れている。
フランスの低所得者用団地って…
最近のフランス映画やドラマの場によく出てくるああいう団地。郊外にゲットー化した生々しい恐怖。フィクションとはいえ、テロ続きのフランス。治安悪い地区でも、あんな銃撃戦まではいかないよ、と自分に言い聞かせてみたけど…。マルセイユは発砲事件もあるというし、フランス全土で移民の問題は依然とあるし。ドキュメンタリー風でドキドキした。ただ、最後にイギリスがパラダイスな感じに見えたのが腑に落ちない。難民、移民の苦悩は続くはず。
人の夢と、書いて…
テレビで見るフランスは、いつもおしゃれですね。そしてスクリーンに映るおしゃれな街では、ちょっと皮肉の隠し味が効いた、ロマンスが。そんなビジターの思いを、余す処なく粉砕する逸品です。昔、「ウィンターズボーン」で、地球の歩き方に、掲載されないアメリカに、驚愕したものです。でも、やはりそれは、何処にでもあるんですね。しかも、難民、移民問題という、隠しきれない隠し味が、メガ盛りなので、すっかりお腹いっぱい。そして、怒涛のアクションの後に訪れる、この世のものとは、思えないラストと、エンドロールの歌声。あれは、多分…。たちの悪い冗談に、付き合わされた気分です。これがカンヌの味わいでしょうか。深いコクと、芳醇なはかなさに、気を失いそうでした。
先の読めない展開、観る価値あり
類のないストーリー展開に冒頭から引き込まれます。家族の3役がいずれも良い演技してます。ただ、実際は本当の家族ではないという闇の部分がもっと掘り下げて語られるのかと思いましたが、その点は肩透かしにあった気分です。
眠くならないパルムドール作品
カンヌパルムドール受賞作品と聞くと、ゆったりとした流れのストーリー、描写に眠りを誘われているかのような感覚に陥る作風、というイメージだったが、この作品はとても力強いパワーを感じさせられる作品であった。設定もただ突飛なだけではなく、人種、血縁などの色濃いメッセージを含めたもので、衝撃のラストは観客に素晴らしいカタルシスを与えてくれる。人間の生きることへの力強さを物語った作品だ。
暴力から逃れてきた「家族」が、逃避した先でまた暴力に巻き込まれる不遇
TOHOシネマズ西宮OSで映画「ディーパンの闘い」( Dheepan)を見た。
2015年・第68回カンヌ国際映画祭で
審査員全員一致で最高賞のパルムドールを受賞した作品らしい。
それ以外には作品に関する予備知識を持たずに出かけた。
TOHOシネマズ西宮OSでは午前中1番の上映が9時上映開始だった。
TOHOシネマズ西宮OSのシアター12はやけに収容人数が少ない劇場だったが、観客の数は10に満たなかった。
我々夫婦以外は全員が年配の男性だった。
監督はジャック・オーディアール。
かなり著名な人らしいが、その作品を見たことは一度も無い。
物語はスリランカの内戦直後から始まる。
主人公の名前はディーパン。
難民としてスリランカから海外に脱出するためには、
ひとりきりでは出国許可が出ない。
それぞれ事情がある夫、妻、娘、3人が偽装家族となって難民船に乗り込む。
到着したのはフランス。
劇中の台詞はタミール語とフランス語である。
移民局の審問ではタミール語の通訳が彼ら偽装家族に手助けをする。
運良く集合住宅の管理人の職についたディーパン。
集合住宅の一室でメイドの職を見つけた妻。
慣れない学校生活で心傷つく娘。
それぞれの生活が始まる。
集合住宅では他の移民たちが薬物の売買を手がけたり、
日ごろから暴力事件や拳銃の発砲事件が起こり、
3人は殺伐とした環境で暮らすことになる。
暴力から逃れてきた「家族」が、
逃避した先でまた暴力に巻き込まれる不遇が描かれる。
しかし、そのような生活の中でニセモノの家族だった3人が、
だんだんとホンモノの家族になっていく。
ストーリーは次の展開が読めなくて、
飽きさせることは無い。
そんなある日、大事件が起こる。
ドイツ、フランス他ヨーロッパでは移民問題が小さくない規模で現在進行中であることから、時事的な評価も加わって好評価となったと推測できる。
上映時間は115分。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
パルムドールにしては娯楽性含めて見易い
これは今までカンヌに苦手意識がある人でも見られるかなと思う。
娯楽性が意外に高く、淡々としながらも力強さで引っ張っていく。
少なくとも後半から目が覚める人は多いんでないかと思う。
ただ自分が見た中でのパルムドール作品としては印象は薄いかな。
前半だけちょっと眠くなったのは否めないし、ドラマ性も薄くはなく深いんだけどもうちょっとほしかった所。
クライマックスの派手さも賛否別れると思う。
しかし、パルムドールとしてちょっと納得な作品でもある。
今を描いているし、移民の現実を描いている。
ちょっと調べてみると劇中での話は映画だけの話ではなく、実際に移民が住む場所があり、そこでは貧困が原因で治安が悪い場所があるという。
だから、暴力のない場所に逃げても平和に普通に暮らせてはいない移民の姿が今作には描かれている。
カンヌでラストに賛否両論があった訳だが、事実を知ると今作は移民が平和で普通に暮らせることを願う作品だと思うと納得だし、そこには愛がある。
だから、パルムドールはちょっと納得の受賞。
作品の出来云々はともかく、そういう位置づけとしては大変意義のある作品だと思う。
不満はあれど見応えのある作品で光の使い方がとても綺麗で劇場向きだし、移民について少しでも知る良いきっかけになるのでぜひとも劇場でご鑑賞ください。
内戦下のスリランカから脱出したフランスも、けして安楽の地ではない
ディーパンの経歴がものをいうのか、細かい仕事も得意だし、よく働く。そして、邦題に「の闘い」がつくわけが、終盤にわかる。
僕にはディーパンが、リーアム・ニーソンに見えてきた!
偽物だった家族が、いたわりの気持ちをもつ本物の家族になったラストに涙。
衝撃と妖艶と美徳の融合
スリランカの近代事情を多少把握していないと理解できないかもしれない。一般常識的な知識でよいので、知らなければ予習必須。
そうはいっても、最近のニュースなどで移民だのテロだの抗争だのまぁテロも付け足しておくか─、そういう情勢に明るければ十分に惹きつけられるし、ニュースなど見ないという人でも展開と映像自体に見せられること必至。
あらゆる伏線に、今見ている物事を楽しむと同時に前に展開されていた事柄を思い出し、様々な思考をかき立ててくれる作品であった。
リアルな映像とともに、スローモーションと音楽での幻想的表現が差し込まれ、さらにオープニングとエンディングにおける文字と映像のコラージュ的表現が見事にはまっていて、単に面白いとかショッキングとか知的とかそういうもので片付けてしまうのがもったいないくらいに、映画としてカッコいいものであった。
コーエン兄弟やドランらが海街やキャロル、黒衣などでなはくこの作品にパルムドールを与えたことには正当の理由ありといった観。
地味だと思っていた作品だったけれども、その思いとは真逆の作品であった。
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