劇場公開日 2016年5月21日

「リノ・フェルナンデスの役どころ」機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5リノ・フェルナンデスの役どころ

2024年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

配信でレンタル視聴。劇場で臨場感を味わうのも良いものですが、ガンダムに限ってはなぜか自宅でじっくりと見ていたいという願望があります。
ま、72時間と限りはありますが、あと2,3回は見るつもりです。

今回、いままでの不満点が大きく改善されている事が評価できます。
大きく言えば3点。
・原作の改変(リノ・フェルナンデスの役どころ)
・オリジナル・スコアの効果的な使用
・池田秀一、古谷徹、銀河万丈をキャスティングして「継承と進化」を成し遂げていること

前回までのオリジン2作に大いに失望を感じていたのですが、今回はその3点が評価できます。

ネタバレなので詳しくは触れませんが、シャアのマスク着用に至るまでのエピソードがより劇的に改変されていて、自身の野望の達成に犠牲者をいとわず、邪魔な者を効果的に排除していく、腹黒いシャアが魅力的に描いてあります。

周囲の人間を疑うことを知らないお坊っちゃんのガルマとの対比がとても効果的な演出となっていて、面白い物語でした。

また、旧劇場版オリジナル・スコアを効果的に使用してあり、高揚感を煽ってくれます。
エンディング・テーマの入り方もさりげなく、曲のクオリティも前作までとはレベルが違うように感じました。

前作では、池田秀一のティーンエイジャーぶりに大いに違和感を感じたものですが、それはアルテイシアとの掛け合いに原因があったのか、今回、ガルマ役の柿原徹也さんの熱演で、シャアらしさが全開で、もはや彼以外のシャアは考えられません。古谷徹さん、銀河万丈さんも、今回は力が抜けていて、「気にならない」レベルまで改善されていると思います。

不満な点もいくつかあります。

普段アニメを見なくなってしまった私には、ディズニーやジブリ作品が基準であり、比較対象としては、やはり見劣りが大きいこと。特にCGでの戦闘シークエンスにそれを感じます。

また、キャラクターのちょっとした動きや芝居が、やや古臭い印象を受けます。
例えば、同室のリノがシャアの正体に気づいた時のごまかし方とか、カメラの放列が政治家をバシャバシャ撮りまくる当たり、「昭和だな…」と苦笑しました。

あ、それから確証はありませんが、ジオンの独立を叫ぶ政治家が何だか若き日のエルラン中将に似ています。クレジットはありませんでしたが、もし彼がそうならどうやって連邦軍の中枢部に入り込んだのか。ただの他人のそら似なのか…気になります。

うそつきかもめ