「地味でフツーなスパイもの、でも平凡ではない」ワルシャワ、二つの顔を持つ男 ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0地味でフツーなスパイもの、でも平凡ではない

2016年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『ジャック・ストロング』

史実を元にしただけあってか物語のアウトラインは地味。
しかしながら緊張感を維持しようとする演出上の努力は随所で感じられ、あたかもポーランド秘密警察に捕まった後の回想のようにミスリードさせる導入は最後まで効いていてなかなか良かった。
ヨーロッパでは有名な人物らしいので「どうせ逃げ切れるんだろ?」という前提があるのだろうが、それを知らない日本人が故に「つまり最終的に捕まっちゃうんだろ?」という心理で見れたからこそ楽しかった。
ソビエトのKGBの男の不気味さがカッコイイ。あと溶鉱炉に人間入れたら精製される鉄にだいぶ悪影響を及ぼす気がするのだけど、どうなのだろうか。
作戦がブレジネフにバレちゃって発狂する陸軍省可愛い。
最後、ククリンスキーとその息子たちが全員暗殺されたことを仄めかすようなラストは、これもまた史実だからこそ許される終わり方だったのだろう。

ヨックモック