「期待はずれ。」美女と野獣 ドストエフスキーさんの映画レビュー(感想・評価)
期待はずれ。
原作を見たのはどれほど前だろうか、それは定かではないが、本当に素敵な作品だったという記憶がある。
本作はエマワトソン主演で、それはそれはさぞかし素敵なラブストーリーを堪能できそうだと、上映前はメインディッシュを待ち侘びる子供を装っていた。
ミュージカル調でストーリーが展開していき、原作もこんなシーンあった!と思い出し、感慨にふけりながら、そのクオリティの高さに次のシーンを期待せざるを得なかった。
ところが野獣が出てきて、その顔が人面獣のようで気持ち悪さを感じてしまった。もう少し狼のようにワイルドな表情をしてくれた方がしっくりと来たと思う。最終的には慣れたのだけれど。
また、ベルと野獣がお互いに抱く感情の変化が唐突すぎて、(ものの数分のうちにコロコロと変わって)感情移入することが全くと言っていいほど出来なかった。
確かに素敵な二人の世界がところどころで表れてて、ジュルリとヨダレを垂らしてしまいそうになったりはしたけれど、それでも、そこに行き着くまでの過程がぎこちなさすぎて、スッキリとその世界観に引き込まれることはなかった。
最後はディズニーらしい予定調和的なハッピーエンド。
途中から何度も違和感を感じながら観た自分としては、あまりにも陳腐に感じてしまった。
高評価だったので、こんな感情を抱いてしまった自分はひねくれてしまったのか?と一瞬、嘆きたくなるがこの映画には高評価を与えることは残念ながらできなさそう。
そういえば、人間はすぐには変わることはできないとベルが劇中で言っていたけれど、王子様の性格が野獣を経てほぼパーフェクトになっていたのには笑った。
冒頭のファッキンプリンスぶりは完全に消えたのだろうか。
ベルはずっと幸せな生活を彼としていくことができるのだろうか。
あと、城のパーティの真っ最中に突然押しかけて中断させて一輪のバラをあげて助けてくださいと言われても、どんな王子でも、はたまた、どんな人でも追い払おうとするのでは?
それに対してあの呪いは残酷すぎる。
原作のその辺の細かいところは思い出せないのだけど、結局あの魔女は何をしたかったのだろう。
行動が一貫しておらずあまり、理解できなかった。
加えて、豪華な部屋を見渡す時のカメラワークが少し悪かったように感じる。
ブレてて全体が綺麗に見えなかった。
結論、豪華絢爛に支えられたチープなラブストーリーだった。ディズニー映画の実写化はハードルが高いのだと感じた。