「映画館で見たかった。」ドクター・ストレンジ 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で見たかった。
この作品で魅力に感じるのは、ビジュアルとスピリチュアル思想、ドクター・ストレンジのキャラの三点がある。
ビジュアルというかCGについては、上映当時はCMや話題でそのCG表現の凄さは知っていた。しかし、当時はハリウッド映画の商業性や、テーマはどうせ大味だろという気持ちから見るに至らなかった。しかし、今回DVDを借りてPC画面で見てみると、建物や地形がエッシャーのパズルやフラクタル図形のように展開していく、サイケデリック体験に似た迫力あるシーンは、でかいスクリーンで見るべきだったと後悔している。CGによる映像表現の描写で映画のランキングを作ればトップ10に入ると思う(他に思いつくのはアバターやマトリックス一作目、もののけ姫とかかな)。
スピリチュアル思想というのは、今作でCGで迫力ある描写がされているミラー次元とアストラル界である。視覚的に違和感なく表されているため、実際にもありそうだと思えるような描写を楽しめた。
ドクターストレンジのキャラの魅力というのは傲慢なところがあったドクターが交通事故で自分の腕の機能を失い、自分のアイデンティティを失ってからあがき、違う形で人を救う力を手に入れるという過程が描かれているからである。最後も震える手で壊れた腕時計を大事そうに抱えている描写からも、彼が力を自分の欲のためには使わないことが伺える。
その他の印象としては、ティルダ・スウィントン演じるエンシェント・ワンがスキンヘッドでも綺麗だという事が一つ。ではあるのだが、今回今作を見る直前に聞いた話では、原作ではエンシェント・ワンはチベット僧であり、白人女性に変えた理由は中国上映がされなくなるのを危惧してとの事らしく、その点はマイナスではある。