「ドラゴンと少年の定石ストーリー」ピートと秘密の友達 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラゴンと少年の定石ストーリー
こんなに素敵な映画なのに、いろんな意味で可哀想な処遇のディズニー作品。
原題は"ピートのドラゴン"にもかかわらず、なぜか"秘密の友達"にされてしまう。ポスターやチラシは、謎の森の画になってしまい、そのうえディズニーは"ローグ・ワン"の宣伝に一生懸命なので、「ピート」は予告編さえもままならない。
世界的には8月公開だったのに遅れたうえに、スクリーン枠が足りず、3D映画にもかかわらず日本では2D公開のみ。結局、誰も話題にしない、ほんとうに"秘密"のままになってしまいそうな勢いである。
しかしねぇ。これを「E.T.」(1982)の焼き直しと決めつけるのは能がない。「E.T.」のほうがパクリなんだよ。「ピートとドラゴン」はディズニーの1977年の作品で、今回はリメイク版。
最近も「ヒックとドラゴン」(2010)や「アーロと少年」(2016)のように、"少年とドラゴン"や"少年と恐竜"の友情といった定石があって、「E.T.」がSF変形にすぎない。「E.T.」の主人公である少年エリオットは、本作のドラゴンの名前"エリオット"をリスペクト引用している。
ということで、定石なので奇をてらう必要はないし、心の素直な人にはストレートに伝わるはず。普通に泣けるし感動的。むしろデジタルによる製作技術の素晴らしさを観るべき。惜しむらくは3D公開でないこと。
オリジナルの「ピートとドラゴン」(1977)は、"実写とアニメのハイブリッド方式"を採っていた。これは「メリー・ポピンズ」(1964)や「魔法にかけられて」(2008)をはじめ、ディズニー作品にたくさんある王道。
これを"デジタルVFX"という視点で観ると、本作のドラゴン"エリオット"はVFXで描かれたアニメーションの一種であり、「ジャングル・ブック」(2016)と同じく、実は究極の"実写とアニメのハイブリッド"なのである。いわゆるマンガっぽい"キャラ"を立てないとすると、もう実写とアニメの境目はない。
それにしても、ロバート・レッドフォード御大は80歳にして精力的に、かつ、作品をセレクトしているかのように佳作に出演しているのが凄い。