「ド迫力のサイコスリラー」シビル・ウォー キャプテン・アメリカ マトレーさんの映画レビュー(感想・評価)
ド迫力のサイコスリラー
アクションからドラマからとても作り込まれた傑作だと思いました。
監督が話している通り、アクションがキャラクターやストーリーと切り離されずにそれら主体で撮られているところが僕たちを退屈させずさらに興奮させていると感じます。
そして『アベンジャーズ』のようなヒーロー集合映画特有の、画面のあちこちでキャラクターが躍動している姿は感動すら覚えます。
個人技のトニーサイド、連携プレイのキャップサイドという構図も良かったです。
MCU初登場のブラックパンサー、そしてスパイダーマン。どちらもかっこいい登場でした。
特にスパイダーマンは今まで演じた2人(トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド)のイメージがどうしてもあったのですが、この『シビル・ウォー』を観る限り、トム・ホランドはかなりハマっていると感じました。
単体作品しだいでは前の二人よりも多くの支持を得られると思います。
さて、肝心のキャップとトニーの関係ですが、かなり修復不可能なところまで来てしまったと思います。
ドラマパートの大半をこの2人が担っていて、今回の対立は『アベンジャーズ』でのいつもの意見の相違とそう変わらなく規模が大きくなっただけのことと思って観ていましたが、後半に明かされる事実とそれに伴う展開はなんとなく分かっていながらも観てて辛かったです。
『セブン』を参考に心理描写をしていったという監督の言葉どおり、モスクワの旧ヒドラ基地のシーンでは序盤から張られていた伏線が明らかとなり、決定的な亀裂が生じる瞬間を画にしています。
ここを観て今作が「サイコスリラー」と位置付けられていた意味が理解できました。
今作はMCUを展開していく点で避けようのない事実暴露をしましたが、『キャプテン・アメリカ』の最後作というところを踏まえるとあまりにも重い影を落とすラストとなってしまったと思います。
それでも現代版のヒーロー映画として最高の出来ということは変わりありません。
エンドクレジットにさしかかる前のシーン。
キャップからトニーの元へ送られた謝罪の手紙と携帯電話がこの物語で唯一の救いになるのでしょうか。
トニーがあの電話を手に取る時が『シビル・ウォー』の真のカタルシスを味わえる瞬間だと思ってます。
それが『アベンジャーズ』の3作目『インフィニティ・ウォー』で観られたら最高なんですけど。