「奏でろ!京都アニメーション」劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
奏でろ!京都アニメーション
吹奏楽に打ち込む高校生たちの青春を描いた同名小説を基にした京都アニメーション作品。
見る順番が逆になってしまったが、以前スピンオフ的な『リズと青い鳥』は見たが、こちらが本元。
TVシリーズ第1期の再編集劇場版。
TVシリーズは未見。
京アニらしい可愛くて魅力的なキャラはいいが、TVシリーズを見てないと、当初はキャラを把握するのにちと一苦労。
でも、話の方は至って王道。
かつては強豪、今は弱小となってしまった北宇治高校吹奏楽部。
中学時代ユーフォニアムを吹いていた1年生の久美子はクラスメートに誘われ見学するも、なかなか入部に踏み切れない。
そこで、中学時代の同級生・麗奈と再会し…。
入部。奏で始めた青春の調べ。
やっぱり京アニは、こういう等身大の青春ストーリーがいい。
京アニで高校生×青春×部活と言うと、同スタジオの代表作『けいおん!』を思い浮かべる。
が、部員があちらのようなほのぼの楽しい部活ライフを選んでいたらそうなったかもしれないが、部員が選んだのは、王道も王道。目指せ、全国大会!
新顧問は、丁寧な言葉遣いと物腰柔らかなイケメンながら、指導は厳しい。
初めて合奏するも、指導するには及ばないレベルと一蹴し、一週間の個人練習を言い渡す。
何とか指導出来るレベルになったものの、そこからが本当の始まり。部員一人一人、楽器一つ一つを細かくチェック。
出来なければ外される。1年生だろうと3年生だろうと贔屓はナシ。実力勝負。
終盤、コンクールに向けて、出場メンバーをオーディションで選出。部員の中にぎくしゃくや軋轢が…。
苦悩、葛藤、疑問…。
が、決してこれらは無駄ではなかった。
部員たちの実力が花開き始める。
中盤、北宇治吹奏楽部の実力を知らしめた地元フェスでの演奏は、高揚感満点!
主人公・久美子が入部を躊躇った理由は、中学時代の麗奈とのわだかまり。
全国を目指していたのに、“ダメ金”に留まり、悔し涙を流す麗奈に、「本当に全国行けると思っていたの?」と、つい心無い失言を…。
そんな久美子が今、悔し涙を流す。
思うような演奏出来ず、顧問からあるパートのユーフォニアムは別の奏者のソロで、と言われ…。つまりは、戦力外通告。
知らなかった。こんなに辛かったんだ。悔しかったんだ…。
上手くなりたい!
涙ながらにそう叫ぶシーンは、本作を象徴するハイライトと言えよう。
美しい画で可愛いキャラが織り成す…と思うなかれ。
ユーモアや淡い恋愛模様も散りばめられているが、思ってた以上にシリアス。スポ根のように、熱い!
全13話を100分の尺に収めたのでダイジェスト的でもあるが、一つの作品としてそう違和感なく纏められていると思う。
そして言うまでもなく、演奏シーンの見事さ、楽器のリアルさ、楽曲の素晴らしさ!
全国を目指す彼女たちにとって、感動的なクライマックスも通過点。
彼女たちの演奏は始まったばかり!