「1人より2人がよろしい!世界」ロブスター mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
1人より2人がよろしい!世界
「聖なる鹿殺し」を見て、ヨルゴス・ランティモスの他の作品はどうなのかと気になって見ましたが、発想がユニークで楽しく鑑賞できました。主人公デビッドは同じく、コリン・ファレルです。
独身者であることは、この世界ではすでに「罪」であり、独身者、配偶者を亡くした人、離婚した人などが施設に強制連行されて45日以内にパートナーを見つけることを強要されます。期間内に相手をゲットできなかった人は、なんと、動物にされてしまう・・・というルール。
結構、芸が細かくて笑っていまいました。
パートナー探しの制限期間は45日
晴れてお相手が見つかった場合ダブルルームで2週間、様子み
その後ヨットで2週間暮らす
双方で解決できない問題が生じた時は子供が派遣され問題解決につなげる
独身者1人を狩りすれば、制限期間が1日延びる
冷酷で血も涙もない女性(デビッドの相手になった人)は最高192人、独身者を捕獲したとか!?
いろいろな規則が数字で設定されて管理されているというのが数字で評価や結果を出す現代をちくりと風刺しているようでもありました。
足の悪い男の人(ベン・ウィショー)の演説が始まる
母がオオカミにされてしまった。母と会うために動物園に行ったら多くのオオカミが寄ってきた。どのオオカミが母だとわからなかったので、とりあえず、持ってきた肉をみんなに与えた。檻を開けたらオオカミが襲ってきたが、そのうち、2匹だけは自分を襲わなかった。おそらく、母はその2匹のうちの1匹でしょう。何気ないエピソードだけど、おかしくてたまりませんでした。
デビッドは兄(犬)を冷酷女に殺されて、すぐに破談か。
その後、森に逃げ込み、カルトのような独身者の集団に加わるも、恋愛禁止の環境なのに皮肉にも近視の女性と恋に落ちてしまう。
近視の女性は独身者たちのリーダー(レア・セドゥ)にだまされて手術によって失明してしまう
そして、デビッドと近視の女性(ワイズ)は2人で駆け落ち。食堂に逃げ込んだ2人。デビッドは自分も盲目になろうと、目にナイフを突きつけようとするが・・・ここでFin。
デビッドが目をナイフで刺したか刺さなかったかは、あまり問題にしていないのかも。人間らしく生きようと思っても、これだけ難儀な世の中になってしまったのだということを提示して終わったのかもしれません。
筒井康隆の近未来SF小説みたいで、本当、興味深いです。