「選挙で勝った者が大統領に相応しいとは限らない」選挙の勝ち方教えます 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
選挙で勝った者が大統領に相応しいとは限らない
笑えるコメディを期待させるこの酷い邦題に反して、なかなか見応えある政治ドラマになっていた。実話ベースだし。
コミカルな要素ありつつ、風刺や醜い政治の裏側などもしっかり描かれている。
毎回の事だが、何で未公開作っていい加減と言うか適当と言うか、ヘンな邦題付けられるのか…。
やり手の選挙コンサルタントだったジェーンだが、ある選挙に負けて引退に追い込まれていた。
そんな彼女に南米ボリビアの大統領候補者から仕事の依頼が。
しかも、対立候補のコンサルタントが因縁ある相手で…。
最初はまるでやる気ナシ。候補者も高慢ちきで大統領に向いてるとは思えない。
しかし、対立候補のコンサルタントを知って、急にやる気に。
ただただ、そいつに負けたくないだけ。
候補者が大統領に相応しくないなんてこの際どうでもいい。
勝ちさえすればいい。その為には、邪道・暴走。
元々イメージの悪い候補者を、それを逆手に取って、強い候補者にイメージアップさせる。
根も葉も無い噂やでっち上げで、対立候補を徹底的に攻撃する。
一応主人公側なのに、やってる事はライバル陣営のような手口。
投票する側は、その候補者を信じて、期待して、投票する。大統領に相応しい、と。
しかし実際は、そんな国民の気持ちとは裏腹に、あくどいやり方でも選挙で勝った者が大統領になる。その人が本当に大統領に相応しいかなど関係ない。
トランプがいい例だ。
ネタバレだが、選挙には勝つ。候補者は大統領に。が、その途端、国民を裏切る。
苦労して選挙に勝ったのに、候補者が大統領になったらそこからは自分たちの仕事ではない。
自問する。本当に彼を大統領にすべきだったのか…。
この国はどうなってしまうのか。
ラスト、自問の答えである行動に、サンドラ・ブロックのタフな魅力も相まって、印象的だった。