アズミ・ハルコは行方不明のレビュー・感想・評価
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街を覆い尽くす異様なテンションに戦慄
冒頭から鮮烈な映像、そして特殊な時間軸を駆使したストーリーが炸裂。主人公ハルコ(蒼井)の暮らしぶりは、まるで嵐の前の静けさ、というか、20代後半の今をすっかり抜け殻みたいにして生きている。そんな彼女がこの街で何を見て、何を感じて、何を失ったのかを本作は透明感のある映像で描きつつ、もう一人の主人公アイナ(高畑)の時間軸では、ハルコが謎の失踪を遂げた“後の世界”が綴られていく。かくも二人のヒロインは全く異なる時間軸を生きているが、しかしそのエピソードが交互に描かれる構成上、すぐ隣同士に息づいているようにも思える。こういった遠いようで近しい特殊な関係性を浮かび上がらせるところが極めて独創的。さらに少女ギャング団やグラフィティアートなどの変数を掛け合わせ、街を覆い尽くした暗黒模様をいつしかある種の爽やかさにまで転じさせていくダイナミックな演出に、弱冠30歳、松居監督の並々ならぬ力量を感じた。
“地方”という名の地獄めぐり
夢も希望も見えない疲弊した社会のリアルを一地方の片隅から切り取っていて、地方出身者には「あるある」の連続。いまの日本は地獄だなと改めて思う。
箸にも棒にも掛からない平凡人たちのあがきの物語だが、視点が高みからではなく、作り手もキャラクターも同じ地べたであがいているように思えるのがいい。
本作の最もファンタジックな要素は男を襲撃して回る女子高生集団の存在で、30代の安曇春子が彼女らに突破口と希望を見出すのもわかるし、自分の年齢を思って踏みとどまるのもわかる(原作とは微妙に異なっている)。
女子高生らの暴走を象徴する劇中アニメが出てくるが、原作ではハッキリと映画『スプリング・ブレイカーズ』が名指しされている。あの映画のクソビッチたちに「どこまでも行け!」と喝采したくなる感覚が、この映画にも宿っていた。「Break on through to the other side」な快作。
地方都市で暮らす女性の閉塞感が伝わる
原作は女性作家の小説なので、かなり切実なエピソードもある。いたる場所で同窓生と偶然会うエピソードは、地方のコミュニティーの狭さ、行き場のなさをうまく伝えていた。一方で、男だけを襲う女子高生ギャング団なんかはまあ、ファンタジーだと思ったけど。
松居大悟監督の過去作では「スイートプールサイド」が割と好きだったが、今作は女性の生きづらさを男性監督が代弁するような格好になり、観る側としてはいまいち乗り切れない感じではあった。
時系列をかなり操作していて、ハルコ失踪前と失踪後を行ったり来たりするのだけど、それもあまり効果的とは言えない。
高畑充希は、朝ドラの出版社社長役からまだそう日が経っていないせいもあってか、ヤンキーキャラは無理をしている感じを受けた。女子高生ギャング団リーダー役の芹那は好印象。ギャング団のメンバーたちの人生も見たかったな。
監督つながりで鑑賞。 原作の雰囲気と付かず離れず。 本当は壁もなく...
監督つながりで鑑賞。
原作の雰囲気と付かず離れず。
本当は壁もなく制限もないはずなのに、地方の閉鎖的雰囲気は手に取るようにわかっちゃう。
それを払拭するかの如く、向こう見ず、向かう所敵なしの女子高生パワーが最強だった。
そして、高畑充希のギャル役の勢いも見ものだ。
話が少し難解だったが、映画っぽく良い作品だったと思う。 演出がオシ...
話が少し難解だったが、映画っぽく良い作品だったと思う。
演出がオシャレな感じもあって、松居監督っぽくないところも、良い意味で良かった。
時間軸がよくわからない
最後まで見ればわかるのかなと思ってましたが
最後まで登場人物の時間軸がよくわからず
不完全燃焼で終わりました。
タイトルがアズミ・ハルコは行方不明ならば
まずはアズミハルコが行方不明になる経緯が
あって、行方不明になってから話が始まらないと
最後まで分からないままじゃないかと思うのですが
ホントに行方不明になってるの?って最後まで??でした
時間軸をずらしながら展開していく邦画は最近よくありますが
最後には「なるほどね~~」
って思えるくらい気持ちのいいエンディングじゃないと
どうもすっきりしないです
すいません率直な感想でした
消えて生きる
安曇春子が失踪した。
程なくして、彼女の捜索願ポスターを模したグラフィティアートが拡散され、街では男だけを狙う女子高生集団が社会問題となっていた。
彼女の存在、彼女の失踪を通して、全く関連性のない世界線が少しずつ交差していく。
難しい。決して気持ちの良い映画ではなかった。
女は存在を認められ、男は存在を否定されたような。
ものすごいメッセージ性を感じるけれど、難解すぎて私には全ては汲み取れず。
まず、時間軸がバラバラ。
冒頭では物語中盤の様子が描かれ、そこから過去に戻り、3歩進んで2歩下がるを繰り返す。
失踪するものの、画面から春子が長時間消えることはない。
それゆえ、いつどのように失踪し、真実はどうだったのかもイマイチよく分からなかった。
もう一度見たいとか大好きだとかは思わないけど、嫌いでもない。出来も悪くなく、飽きることはなかった。
そして、2つのものの対象性と共通性が対比されているのが印象的だった。
激しいセックスと静かなセックスの緩急だったり、若者のフラストレーションの捌け口的な親父狩り(?)や落書きだったり。
全く関係ない対象的な人とも我々は生活圏を共有している。
横をすれ違った誰かは自分にとって重要な人物かもしれない。
全てが一期一会ではないかもしれない。
世間の根拠なき憶測に晒されながら、主人公的存在の消失の真実を求める姿は、先日鑑賞した『チワワちゃん』と通ずるところがあった。
全体的に良かったキャストの中でも、特に高畑充希が良かった。
キャラが濃いため、あんまり普通の役をやると浮くイメージがあり、カホコとかサクラとかサチコとかはめちゃくちゃハマり役だと思うんだけど、正直ウザくて面倒臭くて見てられないこともある(そこが上手くて良いのだが)。
でも今回はハマり役な上、強いウザさもない。
個人的には1番好きな高畑充希だった。
あと、徳永ゆうきがいい味出しすぎてて、彼だけのスピンオフ観たいレベル。
松居監督の作品ってやけに人間臭い男のキモさが良くも悪くも上手い。
それが嫌な人は嫌だろうけど。
そんな松居監督が描くフェミニズム。
春子の男上司2人が格段にキモかったw
凡庸。尤もらしいが。
無菌の郊外で燻る若者の群像を痛切に物語る意志丸出しなのに凡庸。
悪事の成れの果てに断罪も無い踏み込み不足ゆえ。
結局女には失恋が一番悲しいという古さゆえ。
少女暴行団も落書きアートも取って付けたようで何処かダサい。
尤もらしいが。
花影香音という女優
個人評価:3.3
蒼井優と高畑充希という若手二大女優といえる2人を自分を見出せないモテない女性に仕立て上げるキャスティングは贅沢であり、そこに面白味もある。メッセージ性は弱くピンとこないが、花影香音という女優を発見できたのは収穫であった。誰なんだ!この子は!?
なにかもっと大きい事件が起きるのかと思ってみてたけど、そういう話で...
なにかもっと大きい事件が起きるのかと思ってみてたけど、そういう話ではなかった笑
でも、なかなか響きました。
男に振り回される人生ではなく、主体的に生きろってことかなと思いながら見てた。
【死にたい時には”一度消えて、生きる”。何物にも成れそうもない青年男女の焦燥感を独特の世界観で描く。蒼井優さんの魅力全開作でもある。】
ー画面に登場する、男どもの屑っぷりが凄い。
・ユキオ(太賀)とマナブ(葉山奨之)のチーム、キルロイ(とか言っているが、只のストレス発散の迷惑なペイント落書き野郎。吹っ切れているユキオの方がまだ、マシかと思ったら、只のヘタレ男だった・・。)
・ハルコが勤める会社の社長(国広富之:見間違いかと思った)と専務。自分たちは何もせず、月給百万。ベテラン事務で営業もしているらしいヨシザワさんへのセクハラっぷりが半端じゃない・・。というか、自分たちの言動の愚かさに全く気付いていない。ヨシザワさんの月給17万。ハルコ13万・・。
・チャライコンビニ店員(落合モトキ:勝手にチャラくて中身のない男を演じさせたら、No1俳優だと思っている。(褒めてます))
・ソガ(石崎ひゅーい) ハルコの同級生。何を考えているか良く分からないし、責任を取ることを怖れるノッペリヘタレ男。
・唯一の真面な男。交番の警官(加瀬亮)
ー耐えるフリをしながら、自由奔放でオバカな男を歯牙にもかけない女性達他。
・ヨシザワさん(山田真歩) 社長、専務のセクハラに対し、強烈なしっぺ返し。フランス人って・・。
・おっかない女子高生軍団。(あれは、痛いからやめて・・。けれど、おバカな男たちへの鉄拳制裁は個人的に良し!セクハラ社長をお仕置きしてくれ。)
・アイナ(高畑充希:彼女が舞台挨拶の際に言ったセリフ。”意味が分からなかった・・”)そうだろうなあ。目が泳いでたもんなあ・・。(私、何をやらされているんだろう・・)少し、可哀そう。
・ハルコ(蒼井優) ソガに対する長年の想いを絶叫するシーンと、達観したかのように、”死にたい時には、消えて、生きるんだよ・・”と呟く表情。存在感が半端ない。圧巻である。
<この作品で燦然と輝いているのは、蒼井優さんである。
エンタメ作品もそつなくこなすが、彼女の魅力は今作のハルコのような、どこにでもいそうだが、絶対に居ない特異なキャラクターを演じる際に発揮されると思っている。
この後、「オーバー・フェンス」「彼女がその名を知らない鳥たち」「宮本から君へ」でも、物凄い姿を見せてくれた現代邦画を代表する女優さんである。>
「女性」という枠組みをぶっ壊せ、混沌とした世界に差す光
久々にしびれる作品だった。女性という枠組みに型をはめている世界を風刺するように、小さく復讐するかのように進む世界に私も躍ってしまった。
アズミ・ハルコという一人の女性が街から消えた。彼女の存在のみが街やネットの小さな世界に広がるばかりで、彼女の本当を知るものはいない。彼女が消えた理由は分からないまま。一方のアイナは、ストーリーテラーのように、アズミ・ハルコを追いかけていく。それはまるで重なりあうように、そして、寄り添っていくように。もうひとつの鍵となる、女子高生の暴行事件のワケ。型を壊していくように男たちを襲っていく。これらが繋がったときのラストに映し出される姿はしびれる。
来るものを拒まない、ハードボイルドながらメッセージ性の強い、女性賛美歌、また追いかけたくなるが、男である以上、彼女たちに一生敵うことはないだろう。
時間軸は?
2019年9月15日
#アズミ・ハルコは行方不明 鑑賞
時間軸がイマイチわからずに見ていたのですが、そこが気になりだしてからは、集中できなくなりました。尖りたかったのかな?
#蒼井優#高畑充希#太賀#葉山奨之#石崎ひゅーい
手取り17万円
女性事務員手取り17万円、使えないセクハラオッサン100万円って、日本の闇が深すぎて笑えない。若さとセックスだけが女性の価値とか、本気で思ってる人もまだまだいるし。地方の方が閉塞感強いって言っても、日本全国津々浦々閉塞感の塊だし、オッサン天国だし、海外に逃げ出したくなります。
ギャングの有り様に疑問
女子高生ギャングが男に復讐する...ということは、この田舎の退廃の一端が男性社会であると学際のうちに理解してある。それなりの知性を持った人たちであるはずなのだが、そうも見えない。また、バッドで殴るとか蹴り倒すという行為につきまとうはずの相手の痛みへの共感もない。共感故の暴力の愉しさがまったく表現されていない。つまり、ありもしないものを空虚な想像力ででっちあげたと言うこと。この作り手は人を殴ったことあるんだろうか。
ステンシルアートの何がそんなに凄いのかも分からない。彼らが興奮するたびこちらの熱は冷めていく。『サウダージ』を取材なしで作ろうとしたらこうなりましたという感じ。唯一良かったのはアズミハルコの話だけ。その話にしても良いんだけど女性観が古いなぁと。
『サウダージ』との比較でいうなら、役者全員、芝居が役者の芝居になってしまっており、地方都市の片隅に生きるという世界観から乖離してしまっている。書き割りの中に立たせただけに見える。
他人ごとのようで自分ごと
たまったまアマゾンプライムで観ましたが、
予想より面白かった。
ダサいウザい田舎あるあるなのか?
閉塞感が半端ない。
でも、都会でもう少しましな仕事に就いて、
もう少しましな人間関係の中で生きてても、
ふと同じ状況に陥ることもある。
だから話に入ることができる。
こうならなくてよかったと、
私もそうだよとが交差して、
全ての女の子をギューしたい気持ちに
一瞬なったりもする。
吉田さんがフランス人と結婚するくだりが
好き。
焦りともがきの映画
人生はいつだって、そうそう思うようにはいきませんよね。
この作品はそんな閉塞感や行き詰まり感や焦りを描いた映画です。でも、そこからなんとか抜けだしたい。そのもがきに共感させられました。
他人ごとのようで自分ごと
たまったまアマゾンプライムで観ましたが、
予想より面白かった。
ダサいウザい田舎あるあるなのか?
閉塞感が半端ない。
でも、都会でもう少しましな仕事に就いて、
もう少しましな人間関係の中で生きてても、
ふと同じ状況に陥ることもある。
だから話に入ることができる。
こうならなくてよかったと、
私もそうだよとが交差して、
全ての女の子をギューしたい気持ちに
一瞬なったりもする。
吉田さんがフランス人と結婚するくだりが
好き。
男の私には評価が難しいかも
男に捨てられた地味な女性、愛情で寂しさを紛らわすギャル。その二人の物語。
とても不思議で取り留めのない作品です。一言で言えば面白くはなかったです。
ストーリーは3つのストーリーが別個に進み最後に交わります。が、時間差がある場面を同時並行のように見せる手法が紛らわしく戸惑いを感じます。交わることへの必然性も特になくエンディングの意外性も共感も納得感もなし。
女性の弱さと辛さ、そして再生が趣旨の話なのかもしれませんが、それなら男性の私には評価し難いですね。
ただ、蒼井優と高畑充希の演技は素晴らしかったので、その点だけは高評価です。
全76件中、1~20件目を表示