「男尊女卑への強烈なアンチテーゼ。賛否必至の難解ストーリー。」アズミ・ハルコは行方不明 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
男尊女卑への強烈なアンチテーゼ。賛否必至の難解ストーリー。
【賛否両論チェック】
賛:世の中に根強く残る女性蔑視の風潮や、それに対して過激な対抗手段をとる者達など、様々な角度から女性の生きざまを描き出す様子が秀逸。
否:お話としては意味深な部分が多すぎて、理解に苦しむ。逆に男性を虐げすぎている印象も拭えず、観る人によってはヘドが出るかも。
どちらかといえば群像劇に近い印象です。平気で女性蔑視の言動を繰り返す職場の上司達に嫌気が差しながらも、代わり映えのない毎日を生きていた春子。“面倒くさい女”と言われながらも、恋愛依存を断ち切れない愛菜。そして、社会において虐げられてきた女性達の鬱憤を晴らすかのように、理由なき暴力を繰り返す少女達。そのそれぞれの葛藤や怒りが折り重なって、1つの物語が作り上げられている気がします。
ただ逆に言うと、それだけ混沌とした世界観ゆえに、ストーリーとしてはよく分からない部分も多く、純粋な物語としては観にくいのもまた事実。男尊女卑へのアンチテーゼが行きすぎて、今度は“男性を貶めすぎ”という批判もありそうです。
良くも悪くも、ジェンダーについて思わず考えてしまうような、そんな作品かも知れません。
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