劇場公開日 2017年5月27日

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「V(irus)・フォー・ヴェンデッタ」バイオハザード ヴェンデッタ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0V(irus)・フォー・ヴェンデッタ

2017年8月7日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

人気ホラーアクションゲーム『バイオハザード』の
CG映画第3弾が登場。
対バイオテロ特殊部隊員クリスと政府直属の
エージェントであるレオンが、クリスの元同僚で、
現在は対バイオテロ研究者となったレベッカと共に
世界的な武器商人の企てたバイオテロに立ち向かう。

自分は全シリーズ通してプレイしているし、今回は
『呪怨』シリーズの清水崇監督が製作に参加とのことで
ホラー要素強めになるかとワクワクしていた。

...

実際、最序盤のホラーシークエンスはなかなかで、
暗闇であればCGであることをしばしば忘れるほどの
精緻なCGグラフィックも相俟ってキッチリ怖い。
ひとりでに動く玩具や、暖炉から逆さに覗く髪の
長い女なんて、いかにも清水監督らしくてニヤニヤ。

残念ながらホラー要素はそこくらいだったが……そこからは
これまた実写顔負けのド迫力アクションの連続。
レオンがジョン・ウィックばりのガン・フーを駆使して
ハンドガン一丁で敵を薙ぎ倒せば、クリスも負けじと
マシンガンと腕力でゾンビもウィルスで強化された
クリーチャーもギッタギタにする無双っぷり。
(この主人公たちこそ生物兵器なのでは
 というツッコミは野暮である。)

シリーズファンとしては『0』『1』以来は
原作ゲームに登場しなかったレベッカのその後が
描かれるのも嬉しい限りで、か弱いフリして
その知識量と芯の強さでしっかり活躍。
気力を失っていたレオンの再起なども描かれ、
シリーズファンへの目配せやアクション
についてはなかなかの出来だと感じた。

...

けどねえ……
物語に説得力を持たせるディティール。
これらについて大いに不満あり。

細かく挙げれば色々出てくるのだけれど、
特に仇役アリアスに関する描写がイマイチ。
いや、アリアスの過去や、彼の復讐をサポート
するあの2人の正体は悲しいし、中盤で
レベッカを捕らえようとする流れも、一見
紳士的でマトモに見えるアリアスさんだが実は
とてもおイカれになられておられて良い感じ。

だが、アリアスの背景を早々に、しかも簡潔に
明かしてしまったことで、物語上のサスペンスも
彼の犯行動機も弱く感じてしまったし
(そもそもひざまずいた男が天を仰いで絶叫するシーンを
 3分も経たない内に繰り返すのは賢明な脚本とは思えない)、
彼の狂気の描き方にももう一歩踏み込んで欲しかった。

終盤になるにつれて展開の粗さも目立ち始める。
アリアスの本拠地は○○にあると何故かあっさりバレるし、
だいたいテロ最警戒されるあんな大都市にアジトを
構えるのはいくら何でもリスキー過ぎるし
(好意的に解釈すれば“灯台もと暗し”を狙ったかもだが)、
○○であんな大規模な事件が起きたら高速道路でも
街中でもみんな悲鳴上げて大騒ぎになりそうなのに
妙に静かだし人もまばら(人口激減したのだろうか)だし……

最後の解決もご都合主義だなあと感じてしまったかな。
……あれ、それに、ゾンビ化した人達が最終的にあんな風に
なったなら……アジトでクリス&レオンが倒しまくった人達は……
いや……いやいや……大丈夫……だよね……。

...

以上です。
原作シリーズの熱心なファンならば、もはや
別物と化した実写版の『ファイナル』よりは
俄然楽しめると思う。が、脚本の質については
どっこいどっこいか、やや劣る印象。
『ヴェンデッタ』と『ファイナル』であれば
個人的には前者の方がやや好きだが、それでも
まあまあの3.0判定で。

<2017.05.27鑑賞>

浮遊きびなご