「これぞ「この世界の片隅に」」サウルの息子 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ「この世界の片隅に」
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収容所の処刑室だけにスポットを当てているので、常に処刑されるユダヤ人とそれを処理するユダヤ人しか出てこない。処刑される死体の山の生々しさと、黙々と処理するゾンダーコマンド。第二次大戦の中でこんな「重箱の隅を突いた」様な映画は観たことないかもしれない。
しかもこの内容は、その処理する側のゾンダーコマンドの一人サウルの「個人的な」事情であるから、正にこの時代の市井の人の事情と言って良い。
話はひたすら悲しい内容でしかないが、最も悲しむべくは、目の前で我が子が死んでも声すら上げられない、いやそんな感情すら捨て去られたユダヤ人の絶望感。そんな中でも聖職者を探すのに躍起になるサウルの気高さ。
そして最後まで悲しい。
死体処理の時の生々しさは、サウル視点の映像なのですごく露骨では無いように作られている。その配慮も素晴らしい。
名作だと思います。
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