映画 聲の形のレビュー・感想・評価
全454件中、421~440件目を表示
聲の形
原作未読です
感動した!
粉々に砕いた“心”と“繋がり”、それを掻き集める“強さ”・・・京アニでなきゃ描けなかった真っすぐなラブストーリー
小さくて細い糸が不意にプツンと切れた感覚。体験談の話ですけど、それが”繋がり”の切れた感覚です。それはほんの数秒で身体の内側を凍り付かせて、本気で自分の中の一部が欠落したと錯覚します。しかもそれは時間を経ても、忘れることを許しません。未だ身体は覚えてますし、死ぬまで消えぬと思います。
体験談を使ってまで、何故レビューを書き始めたか?それが『映画 聲の形』を鑑賞中に甦ったからです。最も忘れたい忌まわしい”落ち度”、でも忘れてはいけない”事実”を。それがそのまま将也君や硝子ちゃんにも通じるからです。
罪のない好奇心がボタンの掛け違えで凶器になる。やり過ごす為の愛想笑いが逆に相手を逆なでする。防げなかったすれ違いで築いたものはあっさり壊れて、それが幾年経過しても心に影を残してしまう。幼少期の出来事って、例え克明に覚えてなくても、身体と心は覚え続けて、忘れさせてくれないので、当事者はただひたすら苦しいんですよね…。『聲の形』はその苦しみを容赦なく描いてます。しかもひたすら苦しい場面の羅列で画面を覆うのでなく、合間に希望を混ぜることで、それをさらに鋭くします。
過去に『たまこラブストーリー』や『境界の彼方』の”過去”と”未来”で苦しみの先に待つドラマを描いた京アニ作品なだけに、本作もそのブランドに恥じない映画になってました。”偽善”からの行動だと心のどこかで分かっていても、それでも犯した過ちからは逃げたくないと向き合う将也君。自分自身を嫌み嫌って、命を絶とうとした硝子ちゃん。皆苦しい現実から何度だって逃げ出したいのに、逃げたらもう戻れないと分かっているからこそ故に、傷つけあって責め合って、繋がりたいと必死に足掻く。ポール・ハギスの『クラッシュ』ばりにほんとボロボロになってくんです。正直無視できないほど、心と胸が痛みました。
でも映画はそこから抜け出す、光の道を用意してます。それがまた抉られるほどの痛みを受けねばならないもので、そのせいで硝子ちゃんは将也君を傷つけます。下手をすれば彼の命を奪いかねないほどの事態を。被害者だけであった彼女はここで初めて加害者(的立ち位置)となり、将也君のことが好きな直花ちゃんを傷つけます。確かに自ら命を絶てば、楽にはなれるのかもしれませんが、もう将也君のことが好きと自覚した以上、彼の目の前で死ぬことなんてできるわけがありませんよ。人は人を好きになったら、二度ない命を捨てれませんし(全員が全員そうじゃないので、あくまで僕の想像ですが)。
ほんとはもっと巧い言葉でレビューを語りたいのですが、文章力が拙い上、知恵もないし、語彙もないので、”鉄は熱いうちに打て”に従い本能で書きました。ですがこれだけは言えます。
この映画にこうして出会えて、ほんとうに良かったです。ありがとうございました(レビューを読んだユーザーの方も)!!
京アニよく頑張った
寄り添う、生きる
1回目は原作未読で、非常に感銘を受け、2回目を鑑賞しました。
原作は、聴覚障害の硝子をきっかけに、人々のディスコミュニケーションを描きそれを乗り越える物語ですが、
映画版はより主人公の将也にフォーカスをあてており、自己肯定を出来なくなった人々が他者とのコミュニケーションを通じて再び自分を許す物語で、より普遍的なテーマを描いた傑作だと思いました。
ゆずるが、将也に対して、自己満足で硝子と会っているのではないか?といいましたが、これは間違っていない。
自分が自分として立つためには、他者から必要とされること、ある種の承認欲求が必要な訳で、死のうと思った将也が硝子に対して献身的に尽くすのも同情ではなく、他者から必要とされたかったから。昏睡から目覚めた後、すぐに硝子を探したのも、恋とか愛とかではなく、ちゃんと救えたかということを確かめたかった。硝子を救うことで、自分もまた救われたかった。
一方硝子は、そもそも他者から救われることしかないことに、遠慮と負い目を感じ続けてきた女の子だ。彼女は自分が他人に対して与えることは無いと感じ続けてきたから、異常に優しく、自己主張せず、全てを赦して生きてきた。ずっと他者から守られてきた人生だった。でもその中で、将也に生きるのを手伝って欲しいと、他者から初めて救いを求められた。それで、生きることがまた出来るようになった。
劇中、ゆずるが硝子に会うのは自己満足なんじゃないか?というシーンがある。でも実はそれはそれで良いんじゃないか。他者のために行動し、他者に必要とされ、それに喜びを感じる。そのことを、実は相手もまた思っている。
そんな単純な世界を認識し、ただひとりで泣きながら周りを見て泣く将也を見て、私もまた泣いた。
音に表れる心の形
色々考えさせられるなー
感動の拒絶
レビュアーの状況
【原作未読】【公開初日に観てきました】
原作を読んでおらず、あまり事前情報も観ていなかった中で観てきました。
凄く不思議な映画でした。
感情移入で泣きそうになる瞬間は幾度もあるものの
全編を通して感動する観客を慎重に拒絶していました。
感動をしないけれど、各キャラクターに共感ができる。
やりきれない感情の発露としての怒り、涙に共感して泣きそうになる。とにかく目が離せない。離していたくない、という映画でした。
物語の流れとしては
各キャラクターの欠点、古傷を幾度となく掘り返し
お互い、そして自らすら傷つけ、すれ違い合いながら、
それでも自分の傷口と向き合い、失敗しながらその傷を受け入れていく(癒していく)話でした。
ただ作中の細やかな描写をしっかり追えないと
(そして各キャラクターの背景にある状況を推定できないと)
不快感を感じる描写の数々の割に感動がなく
かなりしんどいと思います。
それから、これは原作未読組の戯言なのですが
主人公とヒロインの転機のイベントの前の何か(決定的な)出来事
や
真柴君に関わるエピソードが意図的にカットされているようにも感じました。
無くても成立する話として仕上がっていると思うのですが
きっと入っていたら、もっと素敵だったんだろうな(原作読むか...。)
という気分になりました。
いい作品だと思います。
ただ、感動しようと思って観に行くべきではないですし
キレイで片づけられないことも多くあります。
(すれちがい、別離のキレイさを求めるなら「君の名は。」をお勧めします。)
また、映画の描写からどれだけのことを読み取れるかで
評価も変わってくると思います。
そういったことを踏まえて、観に行くべきか一度考えてから観にいかれることをお勧めします。
全454件中、421~440件目を表示