映画 聲の形のレビュー・感想・評価
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誰にでも思い当たる映画
「いじめをしたことがあるか?」と聞かれたら、ハッキリと「していません」とは言えない自分がいます。
主犯格じゃなくても、あまり関わらない様にしたり、からかっただけでも向こうが傷ついていたりいじめの一部になってる可能性はある。
誰もがこの物語のメンバーの誰かに感情移入は出来るかなと思った。
私がいじめられたときは短期間だった。でもとても長く感じた。
死にたいとは思わなくても、確実に辛かった。
そんないじめていた人が、SNSで友達申請して来たり「遊ぼう」と誘って来たり、当時の私は理解が出来なかった。
でも彼ら彼女たちは時間が進んでいて、あのいじめは一瞬の出来事で、私だけが時間が止まっていて。
引きずっているわけではないけど、やっぱり私は傷はついている。
その中で私は前に進もう、もう許そうと思い、嫌な思い出は嫌な思い出のまま忘れず、でも新しい思い出を上書きできればいいかなと思った。
いじめた側も学校の環境下では強かったかもしれないけど、学校と言う枠を出たら考えが変わったかもしれない。
また害がありそうであれば付き合わなければいいだけ。
そう思うと気が楽になったし、人は変わるとより思えるようになった。
そんな思いがあってこの映画を観ると、耳が聞こえない友達はいないけど、全部身近で合間合間にその時の気持ちがこみ上げて涙が止まらなかった。
この映画に「ああいうことがあったな」とか感じなかった人は、それはそれで素敵な幸せな人生だと思う。
一つ声を出して言いたいのは、一部で感動ポルノと呼ばれる事への違和感。
確かに泣かせる要素は沢山あるし、設定もお涙頂戴と思われても仕方ない。
でもこの映画のテーマは、耳が聞こえようが聞こえなかろうが関係なくて、自分の過去と向き合いどう変わっていくかだと思う。
変わるために周りに迷惑を掛けようと、自分が反省した事柄に大して変わろうとするのはとても素敵な事だと思った。
子供たちだけではなく硝子のお母さんや妹の結絃の心境の変化も見逃せない。
ちょいちょい笑いどころもあって、見易く考えさせられ昔を思い出す映画でした。
いくつもの聲の形
原作未読。この作品と最初に出会ったのはとある二次創作の同人誌だった。
その時はまさかこんな重いテーマを扱った商業作品があるなんて思いもしなかったのとタイトル読みの難しさもあって、ずっと頭の片隅に引っ掛かっていた。
その後、この作品が京都アニメーション制作で劇場公開されると知り、敢えてそこから出来るだけ何も入れずに見てみた。
勿論素晴らしい話で、泣ける話ではあったんだけどそれだけではなく、内容を見ながら自分の過去と向き合っている様な感覚に陥った。
過去に多少なりともいじめをした・された・参加した人は三割増しで感情移入して、悲しくなってしまうかも知れないけど、この作品のテーマが"伝えたいけど伝わらない。欲しいけど得られない"とある様に、その根幹は"いじめ"では無く"本当の差別・平等とは何か"、"感動ポルノ"では無く"健常者と変わらない、ごく当たり前の人の関わり合い"、"障害者との向き合い方はそのまま社会との向き合い方なんじゃないか"って言うテーマに感じられた。
24時間テレビで障害者の人生を再現ドラマで流しているのを"感動ポルノ"と呼び、この作品も同じように"感動ポルノ"と呼ぶ人もいるみたいだけど、個人的には見終わった後全くそんな物と似ているとは思わなかった。
それは主要な登場人物がみんな苦しんで悩んで悲しんで、必死に生き抜こうとしているし、観客はその中の"誰か"に感情移入して、その中に自分を見ているからなんだと思う。
そんな登場人物達に一切共感出来ない人は、この作品を"感動ポルノ"と思うかも知れないけど、この作品は登場人物に共感出来た人達に向けて、これからの人生へのエールをしてくれてるように感じられた。
ある考察を見て膝を打ったのが、"いじめていた加害者と、いじめられていた被害者を包括したもの・障害と言うもの"こそが「聲の形」ってタイトルなんだと言うもの。
障害者に対して優しくして、遠慮して、一歩引いた目線で見てしまうことが本当に正しいのか、"本当の差別"、"本当の平等"とは?障害者との向き合い方とは何かって事を説いている気がする。
以前、地上デジタル放送になるに際して殆どのテレビ番組で字幕が付いたけど、今じゃ殆どの字幕付の番組を見かけなくなったし、この作品が日本語字幕付で上映されるのが2週目以降って言うことがTwitterで物議を醸したけど、この作品を通して映画館が、今一度エンターテイメントとしての有り様を(聴覚障害以外の問題にも)どうするべきかを説いてる気もする。
個人的には、この作品を見た上で「感動ポルノだ!胸糞悪い作品だった!」と言ってる人を見ると(それを想定していなかったかも知れないけど)『聲の形』は、その"伝えたいけど伝わらない。欲しいけど得られない"ってテーマをtwitterでの炎上に代表されるような、脊髄反射でなんでも叩く(本質を読み解けない)一部の現代人に対するアンチテーゼを込めたテーマにも感じられた。
追記:観賞後、原作を最後まで読み終わったけれど、原作を読んだ後にこの作品単体だと解り難かったとは全く思わなかった。
原作では成人式を迎え、大人になるのがゴールになっていたけども、劇場版では主人公が最後に目と耳を開き、再び生まれるって言うのがゴールなので、そのゴールに向かって良い構成になっていたと思う。
原作では掘り下げられていた部分は、劇場版では他のシーンで補完出来ていたと思うし、むしろあれ以上情報を詰め込んでいたら全体の軸がブレていたと思う。
つらさが伝わる
この夏は日本映画で今後語り継がれ新たなファンを生むであろう作品、す...
この夏は日本映画で今後語り継がれ新たなファンを生むであろう作品、すなわち、シン・ゴジラと、君の名は。が公開され大ヒットとなった(私も見に行き存分に楽しみました)のですが、この 聲の形という京都アニメーションが放つ最高品質の一本が、これらの大作のややもすると日陰にありながらも、稀にみる絶品であり、漫画を読んでいた私ですが、原作のエッセンスを最良の形で抽出したアニメーション映画になっていると感じ、不惑を間近に控えたossanである私の埃にまみれて薄汚れた魂が浄化されるようにも思いつつ、単純に爽やかな映画ってことでは無論なくて、かといっていじめ描写はハードというほどではない、にも関わらず客席という客観的立場を安全な位置にはしない、それはいじめに主体的に関わらずとも傍観者になってしまったことを後悔しているクラスメイツと同じ立場、位置(ポジション)に今作品を見ている自分がいる、またはかつていたのだということを突き付けるからであって、アグラフこと牛尾氏による素晴らしいmusicもperfectだったので、何度でも見に行きたいのですが、早くも上映回数が減っていて、仕事帰りなどに見に行くことが困難なのが残念無念、是非あなたに観ていただきたい絶品、逸品、心に残って消え去らぬ最高の作品でございます。
しんどかった~!!
流石京アニ
養老天命反転地
以前から気になっていた作品で、 原作を読んで行こうか、映画から観よ...
素晴らしい作品
心にしみる映画 中学生の頃を思い出した。 一人一人の登場人物のそれ...
タイトルは「こえのかたち」と読みます。 スクリーンでみてほしい、感じてほしい。
劇場で、大きなスクリーンで、あの音響で観てほしい映画です。
アニメーション映画としては台詞が少ないほうだと思いました。
なのに、感じるんです。
手話の説明も少ないのに、なにを伝えたかがわかりました。
耳が聞こえにくいから、静かな世界で生きている硝子(しょうこ)が、積極的に声を発して自分を変えようとしていることが伝わってきました。
でも、自分の声が聞こえないからかな、イントネーションが一般的では無いし、キンキン張り上げた声になってしまって。
ネタバレになるからここから先は書けないけど、
このキンキン張り上げた声がエンディングのスタッフロールに繋がっていました。
スタッフロールが流れはじめた時、音程の合わない高音を張り上げたような歌声が劇場に響きました。
硝子が歌ってる!と思うと涙が止まりませんでした。
もうすぐ劇場内が明るくなってしまうのに、早く涙止まって!な感じでまた泣きました。
もう一度観たい。
劇場で観たいです。
泣かないで、泣かないでよ西宮...。
原作ファンなのですが、思った以上に良い映画に仕上がっていてかなり満足しております。
原作漫画は全7巻完結の決して長くはない物語なのですが、濃密な少年少女の群像劇であり、他に類をみない社会派少年漫画です。
連載当時、少年漫画でここまで踏み込んで書くのか、と大今先生の覚悟の片鱗の様なものが1ページ1ページから伝わってきて、瞠目した事を今でも鮮明に覚えております。
京都アニメーションでアニメ化が決定して、監督もあの『けいおん!』の監督、脚本もあの『ガールズ&パンツァー劇場版』の脚本家、申し分ないタレントだったので、ファンの期待値はかなり高かったと思います。(これだけ期待させているのだから、きっと製作サイドもつきなみな物は用意していないはずだと私は安心していましたが)
先行した災害禍やタイムリープ、入れ換わり等内容盛り沢山だけど単純明快なラブストーリー『君の名は。』がカップルに大ウケして興行的にモンスター級のヒットになったため、『聲の形』はメディア的にやや霞んだ印象がありますが、路線的には2015年公開の『心が叫びたがってるんだ』あたりに比肩する素晴らしい映画になったのではないかと思います。
京都アニメーションその他製作や公開に関わったすべての方々に心から感謝申し上げます。
いい映画をありがとう。
お疲れ様でした。
自分の中の後悔に向き合うストーリー
いじめの加害者が自分の行いの愚かさに気づいて後悔しながら成長して、被害者に何かしたくてもどうすればいいかよくわからないお話。美しい映像に厚い人物描写が心に刺さる、観ていて結構つらい青春もの(?)。ちなみに原作は心に刺さるどころではない。
まず本当に人物描写が良い。リアル…と呼ぶかはわからないが、自分の軸を持った生きている人間が動いてしゃべっているように見える。多少展開が急だったり単なるむかつく人間に見えたりということも、なくはないが、概ね狙い通りの人物として鑑賞者に伝わると思う。
そしてその人物の軸、考え方はすべて己の弱さに起因しているように感じられた。自分を棚に上げて人を責めたり、開き直って感情を爆発させたり、過剰なスキンシップをしたり、生きるのがつらくなったり。一人だけ尺の都合でわからないまま終わってしまったけど…。
人物の軸となる弱さ、もっと具体的に言うと何でそんなことしたの?するの?という理由にはとても共感した。簡単に言えば逃げたいのだ。つらい現実からの逃避や安全地帯への逃避。
作中では各人の「逃げ」が問題を起こしていくが、それを否定的に描いているようには思えなかった。少しの強調はあったが、さらりと普通のことのように描いていた。
だからこそ、将也が今まで自分が後悔してきた人生に向き合うラストシーンには強く共感できる。
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