劇場公開日 2016年9月17日

「見える声。伝えたいこと。」映画 聲の形 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0見える声。伝えたいこと。

2020年5月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

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bloodtrail
Myさんのコメント
2020年8月1日

英語タイトルについての感想は興味深いと思いましたが、私の考えでは、「声の形」をシンプルに直訳したshape~は、声を視覚化し形にした「手話」を表していると思います。指切りの名場面だけにかかわらず、硝子と話したい一心で一生懸命覚えて、交わした手話のすべてを。
また、声が旧字体の聲であることに特別な重みもあり、詩的に色々なイメージが感じ取れます。
聲の漢字は、「声」は部首として「小さな声」であり、それを聴きとろうとする耳のほうが大きく、一生懸命に耳を澄ませている感じ。殳は、矛という武器の意味をもち、攻撃する、壊すなどのニュアンスを持つ漢字に使われることが多い。 又は、再びもう一度の意味と、道が二つに分かれる意味をもつ。 この漢字一文字に、この物語のもつキーワードが含まれているような気がします。
また、耳は、人間の体の中で一番、最後まで動き反応している部分。苦しみの中、目を閉じて、呼吸(口・鼻)が止まり、心臓が止まり、すべての感覚を失う死の直前でさえも、最後まで 耳は聞こえているのです。愛する人の姿が見えなくなっても、その声だけは届いているのです。死の淵に落ちた少年は、感覚を失っていく中でも、この耳で硝子の声を聞きたいと願ったことでしょう。
しかし英訳では単にvoiceという日常語で変化なく、日本語のように色々なイメージを幾重にも含ませることはできません。

また手話は各国の言語によって違い、日本の手話は海外では通じません。日本人観客が「へえこの言葉を手話ではこうやるんだ」と見るのよりもさらに理解が複雑になります。しかしタイトルを shape~にすると「手話」を重視し協調することになり、観客の目線を手話に注目させることになるでしょう。また「手話」だけでなく「ジェスチャー」の意味も含み、ニュアンスが変化してしまうかもしれません。
さらに、「好き:suki=likeを意味する、tsuki:月=moonを意味する」など音声言語への注釈も画面に入り、字幕・吹替どちらで見ても、言葉だけでなく日本文化まで含めて理解するには、情報量が多く観客は混乱しがちでしょう。
外国人がより理解しやすいよう
「手話」でなく「静かな声」という題名で声に注目させ、「彼女は聾唖、話せない」「自分の意見を言えない」「思いを伝えるのは勇気が要り難しい」などのイメージをこめたのではと思います。
どうでしょうか?

My