アバウト・レイ 16歳の決断のレビュー・感想・評価
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母マギー、アラフォーの決断
ニューヨークで暮らす16歳のラモーナ(エル・ファニング)。
長年、性同一障害に悩んでおり、自身も周囲も彼女のことを「レイ」と呼んでいる。
ホルモン療法を受けることが可能な年齢になったのだが、それには両親の署名が必要。
シングルマザーのマギー(ナオミ・ワッツ)は治療が良いのかどうか悩んでいるが、それに加えて、別れた夫と会うこと自体が気が重い・・・
というところから始まる物語で、そこへレズビアンのドリー(スーザン・サランドン)が加わることで、原題は「3 GENERATIONS」(三世代)と相成る次第。
当初の公開予定から2年もずれ込んだのは、本国での公開に際して、製作した時点からLGBTに対する世間の見方が変化したために、編集を繰り返したためだと聞きました。
なるほど、性同一障害に悩むレイの物語から、三世代の家族の物語へと視点を移したのね・・・
と、そう思わせる部分は少なくない。
映画のビリング(俳優の名前が出る順序)では、ナオミ・ワッツがトップ、続いてエル・ファニング、そしてスーザン・サランドンとなっている。
性的マイノリティの祖母と娘に挟まれたシングルマザー、それも過去に夫とのトラブルを抱えている・・・
「レイ 16歳の決断」というよりも、「マギー アラフォーの決断」といった方が正しいような内容になっているので、性的マイノリティの苦闘と決断を期待すると少々勝手が違うかもしれません。
とはいえ、レイのマイノリティとしての苦悩も充分描かれているし、先駆者としての祖母マギーの開き直ったかのような考え方も興味深かったです。
母が微妙だけど
理解はあるけど、どこか受け入れられないし、助けを求めたり、弱みを出さない。でも、いい歳して親に甘えている。
親に言われて引っ越しをすることを、元娘で今から息子に言うと飛び上がって喜ばれる。そして、ようやく彼の気持ちに気づく。
そんな、母親になんか割り切れなさとか、大人になってるのかな、なんて思いました。それも演技が素晴らしいからこそですね。
エル・ファニングは流石の演技ですが、ナオミ・ワッツの微妙な母も見応えありました。
問題盛りだくさんの家族だなぁ
思春期の苛立ちだけでなく、ジェンダー問題や親の恋愛問題も絡んでくる家族物。取り敢えず、ラストシーンを見る限りは未来は明るいぞって思わせてくれるが、葛藤時と実行後は絶対に違う世界が表れるはず。そこまで映像にしていたら現実問題に一刀を投じる作品になったか⁉️
テーマが拡散している
エルファニちゃん演じるレイが16歳のトランスジェンダー、祖母は同性のパートナー有りと、LGBT映画かと思いきや、そうではなかったです。
両親の承諾がないとホルモン療法を受けられないため、両親のサインを取りつける話であり、価値観とかの話ではなかった。はっきり言ってレイの話ではなく母親マギーの話で、しかも過去の三角関係とか、わざわざ本作で取り上げる必要性を感じないテーマに焦点が当てられていました。
元題は3 generations. 祖母はレイ(ラモーナ)が男になることは反対であり、自身の固い価値観に囚われている様子。国連で働いている(?)パートナーは祖母よりはリベラルっぽい。その間にいる母親を巡る、価値観のぶつかり合いのドラマかと思いきや、そうでもない。祖母の保守的な価値観のルーツ(ちらっと出てきたけどフェミニズムかな)とかは深く語られることもない。なので世代間の衝突も深まらず。邦題だけでなく元題までも間違っているというダメっぷりです。
個人的には大失敗作と思っていますが、原因はいろいろと美味しそうなテーマを散りばめておきながら焦点を絞れず拡散しているためだと思います。そうなると語り口が雑になり、物語に説得力が生まれない。こんなに掘り甲斐のあるテーマが散在してるのに、内容が薄っすい!
エルファニちゃん演じるレイは素晴らしかったです。熱演だったと思います。正直、凄味さえ感じました。自分の力でサインを勝ち取るよう動いたところは胸に迫ります。16歳だと未成年だからバカな親に縛られて身動き取れないのは苦しいよね。
が、ケンカで殴られた後に、思いを寄せるコから、「(ケンカ相手が)女を殴るなんてひどい!」と哀れまれたシーンが最も印象に残りました。こんな痛みのあるシーンを撮っておきながら深めないなんて怠慢としか思えません。
本当に雑な映画でした。なんか誠実じゃない!
わざわざLGBTの家族にしたのに?レイの恋を描いたのに?でもメインで描かれているのが幼稚な精神年齢の母親がおりなすドタバタとはあんまりですよ。一見、子どものことを受け入れ難い母親の葛藤の話のように見えて三角関係だもんな、ひたすら雑。伯父とかなんなの?その話すらきっちり描けてない。
最後もなんかいい雰囲気で終わっておりましたが、マヌケだなぁ〜と思いました。店もなんか和民みたいな雰囲気だったし。
性別違和の苦悩をつまんねぇ昔の色恋のツマにしているという意味でも感じが悪いですね。こんなクソ脚本だから、落ち着いたBGMも逆にムードでだまくらかそうとしているように見えてしまう。
本作は早くも今年ワースト映画最有力候補です。星1.5はエルファニちゃんの演技のみにつけています。
家族の再構築の物語
性同一性障害の子どもが男性になるためのホルモン治療を受けることになった家族の話。
そもそも彼(元彼女)の家族が普通でない。レズビアンの祖母とそのパートナー、ヘテロの母、そしてトランスジェンダーの息子(元娘)の同居。その奇妙さに違和感ではなく、温かみも感じてしまうのがアメリカの現在なのだろう。それでも様々な無理解や偏見と闘わなければならない。レイが自らのあるべき姿に戻ろうとする姿には心を打たれた。
でも原題が示す通りこの映画はレイの映画ではない。祖母、母、息子がお互いを認め合うことで家族として再構築する物語だ。
そういう意味でラストシーンの感動は格別だった。
あと、エル・ファニングの演技に度肝を抜かれた。「パーティで女の子に〜」で見せたキュートさはどこに行ったのか。少年レイを見事に演じていた。
それぞれが感じること
自分の好きな女優が多く出演しているため鑑賞。自分でも納得する展開であった。
ストーリーはトランスジェンダーを希望する娘とその家族の物語であるが、テーマが重いだけに映画全体の雰囲気は重々しく感じた。
演技に関しては、エル・ファニングも普通に良かったし、スーザン・サランドンも良かった。個人的にはナオミ・ワッツの演技がかなり良かった。ストレスフルな役を見事に演じたと思う。
ストーリーに起伏はあまり無かったが、ラストはかなり個人的に良かった。
LGBT系の映画はテーマが重いだけに、演出をどう工夫するかが重要だと思う。本作においてはカメラワークが個人的には好きだったが、ユーモラスな会話に加え、もう少し演出によって重々しさが軽減されれば、個人的には完璧であった。
家族の形
男の子になりたいレイ、レイが男の子になるのに対して気持ちの整理がうまくいかない母、レズの祖母、そして祖母のパートナー。それぞれレイの性転換に対しての考えがあってその中でたまには衝突も起きてしまう。
1つの大きな決断によって家族が皆それぞれ見つめ直しあって、今まで以上に家族の愛が深まってく感じにうるっときた。
家族の形とか普通な生活とかではなくて、お互いがお互いのことをよく知り尊重して愛しあうことが大切なんだなと感じた、とても良い作品だった!
試写にて
16歳のトランスジェンダーのレイと、レイを見守る家族の姿を追い掛ける不器用な家族の物語。
テーマは重くなりそうなんだけど、クセの強い家族が和ませてくれる。
エル・ファニングが男の子にしか見えないし、母親役のナオミ・ワッツは綺麗だし、レズの祖母役のスーザン・サランドンが私的には一番好きかな。
決断の内容よりも、16歳ゆえの複雑な親心。
レイ本人の葛藤は勿論だけど、
自分の身体のことでは無いからこそ
より複雑な、家族の葛藤。
偏見を持たない事と、
理解をする事は、
一緒では無いのだと気付かされました。
LGBTの映画としてではなく
"16歳の決断"である事に注目をすれば、
より多くの人が
感情移入しやすい映画だとおもいます。
レイについて、家族会議しなくては⁉︎
かなり深刻な内容…!
パンフレットの表紙から、もっと明るい内容だと思っていました。
しかし、予想以上に緊迫した内容でした。
体は女でも、男として生きていきたいと願うのは16歳のレイ。
男になるには手術が必要です。
でも、母と祖母はなかなか現実を受け入れてもらえず厳しい状況…⁉︎
レイの中では、男以外の選択はないと断言しいるのに対し、
母と祖母は「いつかやつぱり女の子に戻りたくなるかも…」と決断に踏み切れないのです。
堂々巡りの状況に陥る家族…。
さらに頭を悩ませるのは、別れた夫のサインが必要という事実…。
母は元夫の元を再び訪れることになるのでしょうか?
この映画はひたすらに、家族がレイのことで悩み続ける物語…。
家族とレイの家族関係をメインとして描いています。
正直な話、映画のタイトルから、レイが性別で悩む話だと思っていました。
しかし映画では、レイが男になる決意を固めた状態からスタートしたことにびっくりしました。
翻訳タイトルだけで映画を観ようとすると誤解を受けると思います…。
でも、レイや家族がこの病気で懸命に悩み苦しんでいることは伝わってきます。
複雑な心境ではありますが、この映画の良さをもっと引き出すためにも、日本語のタイトルにもう少し留意するべきです…。
そうしたら、この映画がもっと魅力的になった気がします。
最後に…最終的に家族はレイをどこまで応援するのか…?
レイがどんな人生を選択したのか、乞うご期待です。
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