「社会派ブラック・コメディとでもいうような傑作だ。」マネー・ショート　華麗なる大逆転　瀬戸口仁さんの映画レビュー（感想・評価）

サブプライム住宅ローン危機を予測した投資家たちが、いかに危機を切り抜けたかを描く。その過程で、住宅ローンの杜撰さ、格付け機関の不正行為、銀行の詐欺的な行為などを、赤裸々に描いている。

サブプライム住宅ローン危機を取り上げた映画としては、分かりやすい部類だと思う。実録タッチのブラック・コメディとでも言うような作風で、シリアスさとシニカルさが同居している映画だ。

複数の投資家の話が描かれていて、ほとんどが実在の人物をモデルにしていて、いくつかの名前や経歴は変えているが、かなり忠実に再現している。多くの情報が詰め込まれ、ユニークな表現手法も効果的だ。

格付け会社や銀行の詐欺的な手法や隠蔽に対しても、痛烈な皮肉を込めて描く。ほろ苦い教訓を興味深く見せつけた、社会派ブラック・コメディとでもいうような傑作だ。