人生タクシーのレビュー・感想・評価
全34件中、1~20件目を表示
ルールや制約にとらわれない自由な精神が生んだ快作
ジャファル・パナヒ監督その人がタクシーを運転している。理由は語られない。カメラはダッシュボード上の回転式の台に設置されていて、監督が自ら向きを変え、車の前方の道路を映したり、後部座席の乗り合いの客をとらえたり、“自撮り”したり。乗客が「あなたパナヒ監督ですね!」と気づくドキュメンタリー風のやり取りもあるが、さまざまなハプニングが続発するので、台本はあるのだろう。しかし乗客たちの会話は作為を感じさせず、ひょっとしたら俳優ではない一般人もまじっているのではと思わせる。一応はフェイクドキュメンタリーの範疇に入るのだろうが、ジャンルに収まらない魅力にあふれている。
イラン政府に批判的な姿勢のせいで、映画監督禁止令を受けているが、「これは映画ではない」と題した作品を作ったり。スケールの大きなユーモア、制約や圧力をものともせず微笑でメッセージを発信し続ける姿勢に心を動かされる。
地元で映画を撮り続ける覚悟と本気。
政府に映画製作を禁止され、軟禁状態と伝えられたパナヒが、映画を作れないもどかしさを自宅の中だけで映画にしてしまった『これは映画ではない』にも驚いたが、そのままパナヒは軟禁以降3本目の作品までものにしてしまった。
明らかにイラン国外で上映されている以上、パナヒが投獄されたりしないだろうかと心配になるが、作中のパナヒはどこか吹っ切れたように飄々としている。
気がつけばマフマルバフ一家も故キアロスタミもバフマン・ゴバディも、イランの名監督の大半はイランを離れてしまい、創作にとっていい環境でないことは確かだろう。ただしパナヒは軟禁以前にあくまでもイランで映画を作ることにこだわっているのだと、ゴバディがどこかで発言していた。
この素晴らしい映画を観て、制約がある方が名作ができるなんて訳知り顔で言うことはできない。ただパナヒの創作欲が旺盛であり、元気にしているらしいことを喜びたいと思う。
フェイクニュースとしてどうしても見てしまう。
フェイクニュースとしてどうしても見てしまう。
早く亡命してまともな映画作ってもらいたいものだ。
1.たとえ、通話であっても人に自分の電話をかけさせない。
2.DVDのレンタルをやっているようだが、普通は成人映画だろうが。
3.上映許可が降りない理由は面白くないから。資本主義の上映理由の方が厳しいと思うよ。自虐的に描けるのは、イラン人だから、これがアメリカ人なら、上映なんか出来る訳もない。
地雷映画♥
金魚と薔薇
2023年7月9日
映画 #人生タクシー (2015年)鑑賞
政府から活動を禁じられたイランの #ジャファル・パナヒ 監督が、タクシーのダッシュボードにカメラを置き、自ら運転し、乗ってきた乗客たちの様子から人々の人生模様をドキュメンタリータッチに描く
姪っ子がよく喋る喋る
カンヌで金熊賞
【イラン政府により、映画監督20年禁止令を受けた男の、映画愛、政府に対する想いをドキュメンタリータッチで描いた作品。】
ー 私が、ジャファール・パナヒ監督作を映画館で観たのは、2018年に制作された「ある女優の不在」であった。
何処か、彼の師である、アッバス・キアロスミタ監督の”くねくね道”を想起させる面白き映画であった。
彼の師は、イラン政府の検閲を微妙にすり抜け、見事な諸作品「桜桃の味」を筆頭にした作品を世に出して来た。
だが、ジャファール・パナヒ監督は、幾つかの作品で、政府に目を付けられ、映画監督としては致命的な映画監督20年禁止令を受けてしまった。
それでも、彼は、様々な手法で映画を世に出している。ー
◆感想
・まずは、自国の映画を世に出さない姿勢を取った時点で、その国の文化度は、容易に分かると私は思う。文化を否定する国に未来は無いと思う。
・それでも、それに屈せずに、映画を世に出し続ける監督の姿勢に敬意を表する。
・今作は、監督自身がタクシー運転手として様々な自国民を載せて、街中を走る。
ー タクシー運転手とは、過酷な家業だと思う。どこの誰かもしれない人を乗せて目的地まで走るのである。色々な客が居るであろうに。
今作では、監督自身がイランの様々な人々を乗せる事で、イラン情勢が語られている。
<ラストのテロップが痛烈である。
この作品は政府の検閲を受け、国内では上映されなかった。
だが、国際的にはこの作品は多大なる評価をされたのである。
ジャファール・パナヒ監督の最新作を映画館で、早く観たいモノである。>
アホらしさが欲しかった
タクシーを走らせながら、次々入れ替わる乗客とのやり取りを実時間の一連の流れで見せる。深読みすればなんかあるんだろうし、ユーモラスなやり取り自体の面白さはある。
一種の試作というか、一アイデアの試み。それは、とても素晴らしいことなのだけれど、
客(役者)の入れ替わりがタイトで、タクシーらしい「暇な間」がないのが、なんとなく残念だったかな。ボンネットでタバコ(向こうはダメ?)ふかすぐらいの、アホらしさが欲しかったな。
気のいいおじさん風にしか見えないが
劇場で見逃していたので、観られてよかったのだが、こんなものまでソフト化されるなんて、すごいなあ。
ドキュメンタリー風で乗客が入れ替わっていくのが、オムニバスみたいになっていて、面白い。
ハナちゃん、かわいいね。
よかった
雑な撮影なのにドラマが面白くて引き込まれた。短編映画の課題がある人が二人いた。ラストの強盗みたいな人は政府関係者ってことなのかな。
監督の顔が役者じゃなくて一般の顔だった。一般人の中にも役者的な絵になる顔がいるのだが、監督は明らかに絵にならない顔や表情で、オレも自主映画が趣味で仕方なく自分が出る時もあり、そういう時は本当に出るべき顔じゃないと思う。監督も作る方が好きな顔だと思う。オレは普段から鏡も見ず、どう見られているかあまり気にしない。そういう人は長年の習慣で表情が緩んでしまうのではないだろうか。監督以外の登場人物はやっぱりビシッとした顔をしていた。役として緩い顔だとしてもやはり絵になる顔をしている。
イランのお国事情が垣間見えるフェイクドキュメンタリー
ジャファル・パナヒ監督のことやイランの娯楽規制などのティーチインでもないと分かりにくい感じはある、なじみが無さすぎるので。
明らかにフェイクだと分かるが、企画としてではなく規制が厳しくてこういう風にしか撮れないという事情が分かると見方が変わる。
おしゃまな姪っ子が可愛い。
メルシーっていうのはなぜ?
通貨がリアルじゃなくてトマンていうてる。
とてもおしゃべり。規制が厳しいようでユルい。
乗り合いタクシーは日本以外では一般的なのかも
イランのドキュメンタリータッチってことで、もっと悲壮感あふれる作品...
イランのドキュメンタリータッチってことで、もっと悲壮感あふれる作品かと思いきや、軽くて楽しめるものだった。構えることなくたくさんの人に観てもらいたいって気持ちが伝わる。
ドキュメンタリータッチと言ってもドキュメンタリーでは無いなとすぐ分かるけども。でも実際あり得ることばかりなんだろうな。
それにしてもみんな適当で自由で羨ましい。日本てちゃんとし過ぎだよね。問題は山積みだろうけど、信じるものがあって闘うものがあって、今の日本と比べてどっちが生き物として幸せなんだろ。
正直すごく遠い国の話
なんだろう文化の違いはあれど
危ないって言われてる国の人たちが
ふつうに花を買ってタクシーに乗って
友人と話をしている。
正直驚きでしたが、一度は見て良い映画でした。
テヘラン都会ですね!行ってみたいかも!
試みが面白い
でも価値観の違いで驚くことが多くて、作品そのもの、お話に引き込まれるとかではなかったのがマイナスの部分。
大体タクシーが乗合いっていうのもスゴいね。
法の下の平等や、義務教育、言論の自由って素晴らしいんだなって改めて感じました。
反体制を滲ませた作風でイランでの20年間映画製作を禁じられているジ...
反体制を滲ませた作風でイランでの20年間映画製作を禁じられているジャファル・パナヒ監督の新作。撮影機材は車載カメラと姪っ子のコンパクトデジカメのみ。タクシー運転手となった監督が街中で車を流しながら出会う人々を拾い、会話するだけ。口の達者な男とさらに輪をかけて口の達者な女性教師、胡散臭い海賊版DVD販売業者、交通事故に遭った夫婦、映画監督志望の学生、金魚鉢を抱えた2人の老婆、強盗に襲われた古い友人、お金持ちが落としたお金を拾った少年、停職中の女性弁護士等々、市井の人々が語る日常に切り取られたイランの国情が車載カメラに映りこんだ街の風景の向こう側にくっきりと浮かび上がる。
温厚な風貌の監督が時折見せる寂しげでありながら怒りを湛えた表情が、劇中に何度も言及される”俗悪なリアリズム”が何たるかを無言で語る作品。最後にポンと無造作に放り込まれるオチが胸につき刺さります。小学生なのに監督がタジタジになるような質問をバンバンぶつけてくる姪っ子のハナちゃんを筆頭に、理性的で信心深くタフな女性達の凛とした姿も印象的です。
小さな理解
国から映画を撮影することを禁止された監督は、タクシー運転手に身を扮して、乗客とのやり取りを通して、テヘラン(イラン)の状況を伝えている。
自由は制限されているが、監督の雰囲気は落ち着いて、優しさを感じさせるものだった。姪っ子も、オマセで可愛かった。
表現者であること
タクシーの運転手が撮ったドキュメンタリーに見せながら、実はしっかりと書き込まれた脚本とかありそうな映画でした。
監督は淡々と運転手をしていて、一番役にはまっていない。
姪っ子がかわいい。最後の女性な弁護士さんが語るイランの実情にドキッとしました。
映画人の本気を見たように思います
運転手役の監督と乗客のやり取りを通して、テヘラン市民の何気ない日常を見せつつ、厳しい言論統制が市民生活にまで及んでいる様子をしっかり見せてくれました。タクシー車内をロケ場所に選んでみせるとは監督の手法は天才的! 日本では殆ど知られていないイランの様子が良く分かりました。それにしても車窓から見えるテヘランの街並みは欧米の都市と遜色なくとても近代的でした。イランはイスラム教の国々の中でも最も近代化に成功した国と聞いていましたが納得。
監督のユーモアに乗る
イランのこともジャファル・パナヒ監督のことも全く知らなかったのだけど、とてもよい作品に出会えたと思う。
イランでは自由な発言や表現ができないことを小さな子どもまでがわかっているという、一見すると住みづらそうな世界かと思いきや、映画に描かれる空気には閉塞感がなく、登場人物はみんな生き生きしていた。
映画を観ている間はずっと、役者の演技が演出なのかドキュメンタリーなのか本当にわからないほど。役者の演技のうまさと演出のうまさで巧みにつくられた"イランの普通の人々"がよりこの映画の本質をみせてくれたのだと思う。
タクシーという制限された空間といくつかの小さな定点カメラのカメラワークにもかかわらず、こんなにも豊かな物語を描ける監督の手腕に始終ワクワクしていた。
ジャファル・パナヒ監督の視点とユーモアはすごい。
全34件中、1~20件目を表示