「鈍で純な男がさもありなんな落とし穴に落ちます」タルロ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
鈍で純な男がさもありなんな落とし穴に落ちます
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チベットの辺境で、近代化の波に乗ることなく暮らしていた牧畜の民の男が、町に出る必要があって行ってみたら、性質の悪い女に引っかかる。いかにも田舎者が陥りがちな落とし穴の物語だ。
もちろんペマ・ツェテン監督は、現代中国の姿と失われゆくチベット文化の写し絵として描いているのだが、基本的には悲劇なのに、タルロという主人公がマヌケでありつつも聖人のようでもあり、かなりの愛されキャラとして成立しているので、ついコメディのように思ってしまう。コメディにしては毒があって辛辣だが、白黒の美しい映像もあいまって、おとぎ話のような滑稽話として楽しんでしまった。自分にとっては秀逸なブラックコメディでした。
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