「キュートな彼女」あやしい彼女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
キュートな彼女
70歳の毒舌ばあさんが20歳に若返って…!?
韓国映画のリメイクだが(未見)、実に邦画らしい人情喜劇の好編に仕上がっている。
何つっても多部ちゃんの魅力に尽きる。
昨年の「ピース オブ ケイク」ではキャリア最高の名演を見せてくれたが、本作ではTVドラマなどでもお馴染み抜群のコメディエンヌぶり。
若返って“ウキウキ ワクワク~♪”だが、言動はばあさん丸出し。
多部ちゃんのばあさん演技が本当に愉快で、そのズケズケ物言いも某番組の“笹野ばあさん”じゃないけどスカッとさせる。
時代錯誤…いえいえ、レトロな髪型やファッションも何故かしっくりくる多部ちゃん。
そしてそして、意外や上手い歌声も披露。
元々歌う事が好きなカツばあさん。
若返って咄嗟の偽名“大鳥節子”でたまたま町内ののど自慢大会に出たら音楽プロデューサーの目に留まり、さらにひょんな事から孫のバンドでボーカルを務め、トントン拍子に人気者に。
…と、まあ、かなり笑いも話もベタだけど、勿論ただそれだけじゃないのがミソ。
女手一つで娘を育て、孫の面倒も見てきたカツばあさん。
自分を犠牲にしてきたから何一つ自由なんて無かった、と、悪気は無いけど言っちゃう。
この母にしてこの娘あり。娘もなかなか気が強いから、喧嘩は絶えず。
せっかく若返ったんだから、人生今度は自由に!
…が、歌う時、決まって想うのは娘たちの事。
娘も居なくなって改めて母を想う。
クライマックス、孫はオリジナルの歌を作曲。それに込めた想いは…。
懐メロの数々が耳に心地よい。
今風の歌をチクッと風刺。
古きは良くて新しきは…って考えはどうかと思っていたら、昭和歌謡曲を今風にアレンジし、今昔どちらの歌もいいもんだと思わせる。
キャストでは、ちょっと冴えないけど人のいい志賀さんはハマってるし、娘・小林聡美は安定の好助演。
“若返り”だからカツばあさんの若い頃の姿を知ってる人も周囲に居る。“若返り”の話のよくある不可解な点(例えば、蘭は新一の子供の頃を知ってるのに何でコナンに気付かないの?)もちゃんと辻褄合わせている。
要潤演じる音楽プロデューサーとの仄かなロマンスはこっ恥ずかしく、ラストは何だか唐突だが、見終わっての後味良し。
クスッと笑って、ジ~ンとして、ほっこりして。
これが、邦画喜劇の醍醐味。
にしても、日本だけじゃなくあちこちの国でリメイクされてるね~!
多部未華子をこの映画で発見した時は、嬉しくてたまらなかった。「悲しくてやり切れない」の歌声にウルっとしたのを覚えている。その後、多部ちゃんの活躍も素晴らしい。NHKドラマ10の「これは経費で落ちません」最高でした。多部ちゃん頑張れです‼️