劇場公開日 2016年4月1日

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「若さと自由と多部未華子」あやしい彼女 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5若さと自由と多部未華子

2016年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

多部未華子はコメディエンヌでしょ!と最初に感じたのは『ルート225』を見た時だった。なんともシュールな世界の中で、彼女が真面目な役を真面目に演じれば演じるほど笑えてしまったのを覚えている。それと比べると本作の笑いは真逆で、クレイジーなのは突如若返ってしまう多部未華子の方であり、彼女の言動そのものが笑いを生み出している。銭湯でのぼせる姿に、彼女がお嫁に行けるのか?と余計な心配さえしてしまったが、「まいったね〜」と照れ臭く笑う姿は嫁に来てもらいたいと思うほどキュートだ(笑)。

オリジナルの韓国版は未見なので、比較してどうこうは述べないが、脚本が実にユニークだ。時折引用される『ローマの休日』が映画ファンの心をくすぐるし、ヒロインの偽名は爆笑もの!そして、お姫様は幸せというおとぎ話の固定概念を覆し、庶民の生活の楽しさを謳ったあの名作に対し、今作は若いことが真の美徳か?というところに踏み込んでくる。

若い時には何でもできる。若いとは良いものだ。うむ、確かにそうかもしれない。だが、それは現在においてのことだ。昭和歌謡曲と共に描かれる個人も国も貧しかった時代の苦労話には、若いだけではどうにもならないやるせなさに涙腺を刺激される。それゆえに孫に今の時代の自由さを語る台詞がグッとくる。

多部未華子、倍賞美津子、小林聡美というコメディエンヌ(と言っても、真面目な役どころもあるが)が織りなすアンサンブルはキャスティングの妙だ。笑って、笑って、ホロリ、かと思えば、“えっ、アンタも…!?”というまさかのオチに再び笑って、あ〜、スッキリ!欲を言えば、もう少しドタバタ感があっても良かったと思うし、ラストのフェスも昭和歌謡曲で締めくくった方が説得力が増した気もするが、全体を通じて、意外な拾い物をした気分だ。

Ao-aO