「脚本、演出が…」無限の住人 kazuさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本、演出が…
原作が大好きでしたので酷評ながらも観にいきました。
率直に言うとただアクションを観たい、出演者ファンだ〜!て方なら観ても損はないかも知れません。
キャスト的には杉咲花さんの凛は微妙でしたね天津と公儀の間に入るシーンは何回撮ったの?いうぐらいにガラ声でしたから良くOKしたなぁと、他のキャストも随所に大根台詞が散りばめられてます。(俳優が悪いのでは無く脚本と演出が酷いです。)
だからキムタクの迫真の演技が引き立ってるというか目立ちすぎます。
脚本で既に無理があって初めてこの作品を観るひとには台詞や話がわからなくなっている箇所が多々あります。
ですからストーリー、内容を気にする方や特に原作を読んでいる人はお勧めしません。
原作を知らないと内容が掘り下げてなく、話がさっぱりわからないと思います。
逆に知ってると内容が薄すぎ、また原作の良さであるサブキャラの武器、人間的な魅力が殆ど伝わってない事や卍が多くの武器を持って使い分けている事や凛の多くの魅力もかなり削られてます。
原作の卍は不死身とは言え、強さは他のサブキャラ剣豪と大差はない設定です。だから100人斬りは積もり積もったスコアであって、一気にあんなに一人残らず斬れる強さではないので、原作を知って期待して映画で観るとゲンナリされると思います。
映画では殺陣のシーンにかなり費やしています。特にキムタクが主人公なので、多少なりと脚色されていると思えば見れない事もないですが、痛快活劇の殺陣と思わないと現実的に血をドバドバ出す一人メッタ斬りは出来ないので現実的な殺陣を好む方にもお勧め出来ません。ほぼほぼチャンバラで雑魚メッタ斬りです。
多分映画を見た感想でも良しとする方は殺陣のシーンのアクションに感動した方が多いと思います。
ただ本当に数に物をいわした殺陣のシーンがインパクトとしてあり過ぎてストーリーを気にしたら理解できなくて滅入ります。
もし映画の『無限の住人』が面白いと思ったけどストーリーが理解できなかった方は原作を是非読んでみてください。その後に映画を観直すと違和感を感じれるかと。
原作はサブキャラも含めて作品の本当の魅力を理解できると思います。サブキャラ剣豪との殺陣のシーンには物語があるのですが、映画では綺麗にぶった斬れてます(笑)
原作ファンとしては内容重視なので観てて苦痛でしたね。
総評としては、木村拓哉の演技は本当に良いと思います、ただ個人的には今までの映画やドラマを観てると延長線上にある演技に感じました。俳優としてこの先やっていくのであれば木村拓哉=この演技ってレッテルでは一般の人には飽きられていくと思います。中井貴一みたいに演技の幅を広げていくと俳優としての人間的魅力がついていくかなと思います。
映画としては脚本、演出が無茶苦茶です。三池監督の作品はこんな感じなのでしょうか?
話やアクションの展開が早過ぎるシーンも多く、作品初観の人には物語がよくわかりません。
原作の世界観を使って卍のカッコ良さを引き立てようとするアクション場面が多いため、漠然とチャンバラシーンが良かったというインパクトしか残りません。
結果、サブキャラ剣豪も中途半端で何故出てきたの?というぐらいに弱すぎたり、物語に違和感を感じさせたり、演技も薄く、感情移入出来ず、サブキャラの演技になりきれない俳優が多いです。木村拓哉一人浮きで、まさに引き立てない役です。
原作に近づけようとしたのか、中途半端に話を詰め込み過ぎ、物語を良さを台無しにした分、木村拓哉の迫真の演技を見せようとチャンバラアクションを盛った結果の作品でした。
もっとシンプルな脚本にして、サブキャラ剣豪やアクション人数も減らして、サブキャラを引き立てて、卍、凛の強さ、人間的魅力を引き立てた方が原作の世界観を伝えられたと思いますし、説明つかない設定も伝えられたと感じます。
原作を知る者としては、特に黒衣鯖人のシーンが一番酷いですね。凛や鯖人の強さを感じられるシーンが無く、殺陣黄金虫も技としての技の良さを全く伝えられてません。
カンヌに出せるレベルとは感じられず、原作の世界観のみを使って、チャンバラアクションを盛ったエンターテイメントとしかインパクトとして残りませんでした。