草原の河のレビュー・感想・評価
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何事にも代えがたい豊かな後味をもたらす秀作
チベット映画人による長編作が日本で劇場公開されるのは初だという。ソンタルジャ監督はアムド地方に生まれ、大学の美術科で学んだ後、奨学金を得て北京電影学院に進んだとのこと。すべての原点には幼い頃に観た移動映画の記憶があったそうだ。
本作の映画に触れて、キアロスタミを始めとするイラン映画を思い出した。グローバル社会、情報化社会の速度とは比べものにならないほどゆっくりとした時間。幼い子供の目線を借りて見つめる世界。そんな子供の一途さにほだされるように変わりゆく大人たちの心。20年前はちょっとしたブームにさえなっていたイラン映画も今ではほとんど上映されなくなり、この類の作品に触れたのは本当に久しぶり。無限に広がりゆく厳しい自然環境で浮かび上がる親と子、さらに世代を超えた祖父と孫との親密な絆が、何にも代えがたい豊かな後味をもたらしてくれる。シンプルだがそのメッセージは強くて普遍。ワンシーン、ワンシーンを大切に見つめたい映画だ。
チベットの自然と生活と、子供の目線
河は、誰にでもある「世代間の意識格差」
主役の6歳くらいの子供を通じて、子供目線や感覚が勉強できる。
子供にも生きることを伝えてあげられる、秀作。
ぜひ大切なお子さんと一緒に見てください。
社会を達観できる、優秀な子に育つと思います。
チベットを知る
チベット人監督の中国映画。
どのようにしてこういう映画の評価がちゃんと高くなっていくのだろう。わかる人にはわかるってこと?
自分も観終わって、観た甲斐はあったと思う。きれいな映像、チベットの自然を観続けて、あたかも行ってきたかのような気がするし、ストーリーもそれなりにあったし。
ただ、エンタテインメントに慣れた俺は、この映画に4はつけないだろう。
こういう映画は叙情性が高いっていうのかなぁ。そういう面を評価する力が、自分はまだ少ないのかな。
主役の子役、父親の演技も上手というか、伝える力が強く、とてもいい映画だったことは、間違いないです。
映画も見て、そしてチベットに旅行に行ったら、それなりのチベット通になれそう。
ちなみに今回ジャックアンドベティ初見参。この横浜市黄金町という町が赤線後のその手の猥雑な町から脱却しようとしている歴史を知った。
いずこも同じか
チベットで放牧を生業とした生活って、こんな感じなんだというのがまず最初。一族三代それぞれの葛藤は、いずこも同じってことかというのが2番。悩んだ時に語り合う自然の雄大さ、流れる時間のゆったり感がうらやましい。
最後のセリフが好きです
過去を洗い流した、おじいちゃん。過去に締め付けられる、お父さん。そして、未来しか見えていない、女の子。同じ場所、同じ時間を共有しながら、違う道を歩んで行きます。案外、家族ってそういうものなんでしょうね。
そういえば、子供の頃、自分だけの世界、ありましたよね。自分と現実との間に、何か隔たりがあったような。その隔たりを映像化されたような感じで、懐かしいような、恥ずかしいような気になりました。それでも、最後のセリフが好きです。収穫の季節、麦畑から、下品なこと話すクマのぬいぐるみが、もふもふと湧いてくるなんて、なんて素敵な悪夢…って、ヘンな映画の観すぎですね。
チベットが舞台となると、政治的なメッセージ映画が多い気がしますが、そこにいる人達は、私達と同じように、悩んだり、つまずいたりしながら暮らしているんですね。幸せの最短ルート目指して、いくら護岸工事したところで、私達の行いは、曲がりくねった河そのものなのでしょう。河が氾濫したら、家族で一休みするのも、いいですね。
ちょっとしたボタンの掛け違いで起こる日常が、じんわりイラつくゆっく...
ちょっとしたボタンの掛け違いで起こる日常が、じんわりイラつくゆっくりとしたテンポで進むから、物語に入り込みます。演出効果抜群のアムドの風景を見たら、又旅行に行きたくなった♪
人間の心理に深く迫る作品
90分という長さで、とても観やすい作品です。その割に、人間の心理の核心をつくシーンが至るところに散りばめられています。
何より驚かせられたのは出演者のほとんとが演技に慣れているわけではなく、普段は別の仕事をしていたりするということ。そんなことを微塵も感じさせないくらいの迫真の演技です。
チベットの自然の美しさ、人々の暮らし、惹かれる部分がたくさんです。
この子を困らせるな
ゆったりとした草原の空気の中、ゆったりと繰り返す遊牧民家族の日常と僅かな前進をみる作品。
父親と祖父の確執というより、偉大な親に独り拗ねているだけで子供な父親。娘ヤンチェン・ラモの成長も又、両親からの愛によるものでないようにみえた。
ベタな演出がいくつか嘘くさく感じでしまいもったいなかったかな。
心が洗われる
何より子役のヤンチャン・ラモが素晴らしい。
チベットの風景が素晴らしい。
多くを語らない登場人物たちが素晴らしい。
河は親子の間に、夫婦の間に、あの世とこの世の間にもある。
普遍的なテーマを扱った詩的な映画だった。
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