「人生は選択の連続」正しい日 間違えた日 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
人生は選択の連続
『if もしも』のように、ささいな選択肢によって物語が分岐する作品。展開の違う2つの顛末が映画前半と後半で描かれる。
既婚者の映画監督が地方で魅力的な女性と出会い意気投合、彼女と関係を持とうとする姿を滑稽に描いている。主演がホン・サンス監督のパートナーであるキム・ミニだが、不倫関係であった時期もあり、多分に二人の実人生を投影していると思われる。
映画監督はだらしのない男である(ホン・サンスの映画の男はしばしばだらしない)。だがとこかチャーミングである。ウディ・アレンの描くダメ男像にも通じる部分があるが、どこか無骨さも残る。不器用そうに見えるけど、なんだか女の心の隙間を見つけるのが上手い。キム・ミニ演じる女性の無防備な親しみやすさは確かに惹かれる説得力がある。
たられば、の後悔は誰でも味わったことがあるもの。それは大きな転機にだけ訪れるものではなく、ささいな言葉の運び方、ちょっとした言い方ひとつにも現れる。人生は選択の連続なのだと強く実感させる、見終わった後、ささいな選択も大事にしようと思えてくる作品だ。
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