劇場公開日 2016年5月7日

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「人生をみ失ったとき何をする?」ヴィクトリア(2015) ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生をみ失ったとき何をする?

2019年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

個人的にだがこの映画の圧巻はビクトリア(俳優ライアコスタ)の生き方だ。これに、絞って書く。
彼女はスペインから最近ベルリンに来てカフェで働いている。友達もいなく一人で踊りに行って、通りで声をかけられた四人のグループと行動を共にする。
四人の中の一人ボクサー(フランツ ロゴスキー)は借りを返さなければならなく、銀行泥棒を押し付けられる。
ビクトリアはその片棒をかつぐわけだが、彼女は積極的に『できる』と答えている。ゾンネ(フレデリック ラウ)が『大丈夫か』と聞くけど何度も『できる』と力強く言っている。ビクトリアと四人のグループは拙い英語で基本的な会話をしているが、ビクトリアの『I can do it !』はパワーがある。
ビクトリアは長年のピアノ訓練で培われた根性がある。クラシック音楽の世界で才能がなければ蹴落とされる。それも音楽院(コンサベトリー)まで行って、コンサートピアニストとして認められるかどうかまでビアノだけに邁進したが才能がない/無理だと言われれば、今までの自分の人生はなんだったのかと感じると思う。毎日7−8時間もピアノだけを練習していた人生だったとゾンネに話した。

この一人での努力、一本道、何も他の世界を知らないビクトリア。この反動からの行動(はけ口探しでもいい)が四人組との行動で銀行強盗したが、私に取っては、彼女はこれからの人生を探検していたように思える。何も知らないけど、自分を試すため冒険をしているように思えた。

ビクトリアにとって、金は大事じゃなく、ピアノの才能がないと言われ、新しい人生をスタートさせるための糸口を見つけているとおもう。コンサベトリーの世界では皆が敵だったと。コンサートピアニストの地位を確立するため皆がお互いに争っていたと。でも、この銀行強盗というタスクは仲間意識の強いものだ。この経験を彼女はしたことがないから、彼女に取って魅力的だったと思う。ホテルで好きになったゾンネが死んで、大泣きをした後、目を見開いて立ち上がる強さ。この人は将来なんでもできると私は思った。
最後のシーンからはビクトリアがどう決断するかわからないが、彼女が街を堂々と歩いていくシーンは盗んだお金は大事じゃないと思っていることがよくわかった。
犯罪の片棒を担いだからって、人生は終わりじゃなくて、新しいヴィクトリアの人生がスタートするのだ。

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