ダーク・プレイスのレビュー・感想・評価
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ありえないことは起こるけど あるべきものは無い映画
28年前に一家のほとんどが殺され、その中で生き残った少女が主人公のリビー。
目下犯人とされている長男は28年服役して上告もせずに黙秘を貫いている状態。
真相は、そんなタイミングでこんなこと起こるんか?!
と、事態が交錯するのも納得だということが最終的に判明する。
残念なのは、主人公リビーの内面の掘り下げがまるでないこと。
寄付金で生活してきて定職もない、友達もいない、もうお金も残っていない。
という自堕落な生き方を想像できるんだけど、当の本人は美人でナイスプロポーションで酒に溺れるでもなく、薬物に依存するでもなく、心身共に非常に健康そのもの。
成り行きで事件の真相を求めて捜査を始めるけど、別に取り戻したい何かがあるわけではないし、乗り越えたい何かも無い。
最終的に真相が判明して何となくいい感じの雰囲気に包まれてるけど、
仲の良かった兄妹のエピソードとか
一家団欒のシーンとか
そういう救いや行動に足りる動機みたいなものが無いので、一家殺人事件を28年越しに乗り越えたにしては救いが少ない。
感情移入が大して出来ないのでずーっと他人事で見ていられるところがある。
個人的に気になるのは、過去の凄惨な事件の再調査を趣味にしている「殺人クラブ」の存在意義がまるで無いこと。
序盤であんなにワラワラといて熱量高くリビーに詰め寄ったのに、その後全く話しに絡んでこなかったのにはビックリした。
無責任すぎるよ。
人間の本質
2016年の作品
原作小説の邦題は「冥闇」 ダークプレイス
小説は未読だが、主人公の問題と過去とそれを解決してゆく過程が見事に描かれている。
この物語は過去のすべてのことが解決しており、余白が少ないように感じるが、最後に示されたベンとリビーの「赦し」(許すこと)が着地点であり、当初からそれを貫いたベンに対し、今、過去を辿ってようやくそこに行き着いたリビーの過程の中に、とても大きな余白を感じることができる。
リビーは過去に甘んじ、誰かが書いた自叙伝の売り上げで生計を立てていたが、いつまでも1冊の本が売れ続けるはずはなく、生活の困窮とお金の問題が目前に迫る。
そしてこの物語の面白い設定が、「殺人クラブ」
実際に起きた未解決の事件を本格的に調査するグループ
ここからの資金提供と、膨大な捜査資料によって、ベンは犯人じゃないと考える「殺人クラブ」
リビーは当初からベンが犯人だと疑わない。
ここが「人生の盲点」であり、クラブメンバーのライルが話した「人は誰もが嘘をつく」というこの物語の核心でもある。
リビーは思い出したくもない事件を問われるのが我慢できない。
メンバーの「嘘つき女」という声に激しく反応した。
反応 この「反応」こそ、人が隠していることに対する反射
リビーは自分の証言と実際に見聞きしたことの齟齬があることを、最初から認識していた。
リビーの嘘 「犯人はベン」
自分でもこの証言をした理由がわからない。
それ故、なおさらその証言こそが正しいと自分に言い聞かせなければならない。
それが崩れてしまえば、リビーの中にある過去すべてが「嘘」になり、崩れ去ってしまう恐怖がある。
幼い頃感じたベンに対する想い
それは決していいものではなく、女の子にいたずらしたとか、悪魔崇拝者だとか、多感な時期の若気の至りというのか、友人たちの影響をすぐに受けてしまうことなどが、長男ベンの人間像を、リビーが勝手に思い描いていたのだろう。
ベンのことに被さるように起きたのが、住民局による土地の差し押さえだった。
リビーは父ラナーの人間像も理解していたのだろう。
離婚後お金のにおいを嗅ぎつけて母からお金をせびることや暴力を振るう行為をみて、漠然と父とベンを重ねていたのだろう。
この思い込みによって、またミッシェルの言動によってリビーの中にベンという人物像が出来上がっていった。
このことが、一家殺害事件の犯人はベンだという証言となった。
「そう決めた」のだ。
さて、
この物語のテーマは「嘘」になるだろうか?
そこから「許すこと」とはいったいどんなことなのかを、視聴者に深く考えさせるように作られている。
一見二重に見えるテーマは、物語そのものの面白さと、視聴者自身が抱えている「嘘」について考えさせることができるだろうかという「試み」になっている。
視聴者がそこにたどり着いてくれれば、原作者や映画製作者は万歳となるのだろう。
この 「許し」「赦し」との違いは、
「許す(ゆるす)」は未来への許可、相手の行為や申し出を「聞き入れる」「許可する」意味合いが強く、一方の「赦す(ゆるす)」は過去への免責、すでに犯した罪や失敗を「咎めない」「刑罰や義務を免除する」意味合いが強いです、ということだ。
ベンは「許し」リビーは「赦し」たのだろう。
ベンは何故何者かが母を殺したのかわからないが、ミシェルを殺したディオンドラ、彼女よりもお腹の娘を守るために「嘘」をついた。
ベンという変わり者が信じたのは、神ではなく、悪魔でもなく、おそらくディオンドラでさえなかったが、自分の子供が生まれてくる事実だけは信じることができたのだろう。
ベンのベッドの下にあった女児の服 母はそれを見て小児性愛者だと誤解した。
家族の中でもベンは浮いた存在になってしまっていた。
レッテル
ボランティアの美術教室 クリシーは密かにベンのことが好きだった。
妬み 妄想 でっちあげ これが独り歩きしながら「盛られ」、うわさが広がった。
そして、
事件の真相の設定は非常によくできていた。
様々なことが重なるというのは恐ろしいものだ。
そして、貧困というのも恐ろしいものだ。
「現在」のリビーは、その貧困の中にいたが、ベンはそれを「お前も牢獄の中にいる」と読み解いた。
リビーが作り上げた妄想
それを真実だと疑わない妄想
「殺人クラブ」の情報や助けを得て、彼女は事件の真相を知った。
現在のディオンドラと娘クリスタル
二人の狂気と、かつてのリビー自身は同じだと気づいたのだろう。
警察から逃げて行方不明になっているクリスタルを、ベンは探しに行くという。
クリスタルを訴えないと言ったリビーに、ベンは「赦し」という奇跡が起きたことを知ったのだろう。
自分を閉じ込めている牢獄
ここから出る手法こそ「赦し」であり、その奇跡は誰もが「いつでも」行うことができる。
この物語を通して、作家と製作者が伝えたかったことがそれなのかなと感じた。
許すことを決めて28年間それを貫いたベン
28年間居場所を誰かに嗅ぎつけられるのではないかと恐れながら生きていたディオンドラ
リビーもまた、勝手に作り上げたベンという人物像から逃れられないでいた。
釈放されたベンは、クリスタルという娘にもこの奇跡の起こし方を伝授するため歩き始めたのだろう。
なかなか素晴らしい作品だった。
モヤモヤは各自の責任で処理して下さい。
謎解きなんて真面目にしようとする方が
どうかしてると最初から思うんですけど・・・。
何十年前フタをされてその後
当事者さえ明かそうとしなかった真相に
無理が無い訳無いでしょ。
悩みに悩んだ挙句、完全にどうかしてしまって
有り得ない方向にすすむ事の方が実際多いし。
そんな不幸の塊の仕上げにやって来て
付け込む悪いヤツがホントにいるのよ。
そりゃ何が気に入って何がモヤモヤするのかは
好きに吐き出して構わないけど、
酷い点数付けたりしないでよ。
もっと頭スッキリさせて再鑑賞すればイイだけじゃん。
ていうか現実の事件の方が
何百倍モヤモヤすると思うよ。
もっともっと映画ってモヤモヤしてて
イイと思うんだよね。
事実なんて不条理のカタマリの事を
違う呼び方してるだけじゃないの。
だけど許せないのは、素人の
ホラーと呼ぶのも憚られる
キャーキャー言ってるだけの
ヘタクソなヤツね。
ああ、このレビューも
かなりモヤモヤする!
感動の渦に巻き込まれた「サラの鍵」のような“希望”が感じられず…
昨年、私を感動の渦に巻き込み、
度重なる鑑賞と原作本の購入に至った
「サラの鍵」の監督作品と知り初鑑賞した。
しかし、私にはこの映画の
物語性や登場人物への理解が及ばなかった。
・判決が8歳の子供の証言が決め手に
なったように描かれ、
更には、複雑な殺人犯行に見える犯罪が
何故ベンが犯人とされたのか等、
当初のこの事件の裁判が、さも“いい加減”
だったように感じられることには違和感
ばかりだが?
・自殺に見せかけるはずだった自殺幇助人の
殺人手法は、とても目的を果たせるような
手法には見えないが?
・また、主人公の兄は何故、
真相を語ることなく28年以上の長期に渡り
刑務所に入る決断をしたのか?
自分の子供を宿したディオンドラや、
嘘をついた妹が幼すぎることへの
気遣いなのだろうか?
等々、あまりにも設定が
不自然過ぎるように感じたのは、
全てが原作によるものなのかは分からない
が、理解に苦しむばかりだった。
それでも、最後には
ジル・パケ=ブランネール監督が「サラの鍵」で
見せてくれたように“希望”を示してくれる
だろうと期待して最後まで観ていたが、
これも単に過去の重しから解放されたかの
ような主人公のセリフで締められたのは、
「サラの鍵」と同じ監督作品としては
大変安易に感じられ、残念に思えた。
盛り上がらない
真実はどこにあるのか?
1985年、カンザスで起きた一家惨殺事件をモチーフにしたサスペンス・ミステリー。母親と長女、次女が殺され、犯人として逮捕されたのが、15歳の長男・ベンだったというショッキング事件として、世の中に知れ渡った。逮捕の決め手のなったのが、その時、生き残り、当時8歳だった三女・リビーの証言だった。
長男は、終身刑を受け、服役していた。その後、リビーは、全米から注目をされる中、親戚をたらい回しにされ、心に闇を背負いながら、次第に排他的な生活を送り、31歳となっていた。
そんな折に、有名事件の真相を探り合うサークルからの招待を受け、サークルのライルと共に、改めて24年前自分の証言は、本当に真実だったのかを調べ直すことにする。
リビーが調べていく中で、ベンが逮捕当時から、警察にも家族にも告げず、ひた隠しにしてきた秘密がある事に気づく。それは、ベンと付き合っていた彼女との若すぎた恋愛の結末で、事件の真相にも大きく関っていることが、明らかになっていく。そこから、惨殺事件の真犯人と動機についても、意外な展開を見せていく。
リビー役のシャーリーズ・セロンは、強い女から魅惑的な女、悪女まで、今やどんな役が来ても安定感のある演技をみせてくれる。本作でも、事件のトラウマを抱え、擦れた生活が染みついた・哀愁漂う女を演じている。
また、ベンの当時の恋人役を演じたクロエ・グレース・モレットは、これまでの役柄とは一線を画した、不良少女役に挑んでいた。
原作が、『ゴーン・ガール』のギリアン・フリンということで、最後までジリジリさせるサスペンス・ミステリーとしての面白さは間違いない。但し、その真犯人は、やや短絡的な感じもして、残念だった。
ミステリーサスペンス映画ではないね。
事件の真相を追求することは、必ずしも正解ではない。
という映画や小説は多数あるが、
本作では「半分正解」という中途半端な印象。
28年前の悲惨な事件の謎を
解き明かすミステリーサスペンスだと思っていたが、
暗く、淡々と事実を積み重ねていくストーリーなので
ミステリーサスペンス映画ではなかった。
では、事件の加害者と被害者の心理状況の
変化を考える映画かと思ったが、そうでもなかった。
ミステリーサスペンスにしては淡々と進めすぎ、
心理状況を描く映画にしては、
登場人物や細かい事件が多すぎ。
だから、どっちに焦点をあてて観ればいいのか分からなくなる。
どういう意図で作られた映画なのだろう。
ベンのノートに書かれていた名前の意図するものは?
なぜ幼いリビーは「ベンが犯人だ」とウソをついたのか?
ここだけが疑問。
ま、その疑問が解けたところで映画の評価が上がるわけでは
ないのだが。
3.4点最後の台詞が良かった
全体的にどうなるんだろーと気になる展開でした。
映像もきれいで胸糞展開もないので見やすい。
事件の真実はそこまで驚くべきものはありませんが
「普通でいい、普通の人生が今始まった」という台詞が良かったですね。
ああ、僕の人生もまだ始まったばかりだと思えました。
不幸が招いた家族のミステリー
1985年カンザスの田舎にてある母親と娘2人が惨殺。生き残った娘リビーは兄ベンが犯人と証言。一応事件には決着は着いたはずだった。23年後生活に困っていたリビーは金の為に過去有名殺人事件を語り合う「殺人クラブ」に招待されるが、それを機に事件の真実が判明されていくストーリー。
あらすじだけ見れば面白そうに感じる。
過去映像が流れ、現代にて真実が暴かれていく。
流れとすれば悪くないのだが、いかんせん抜け落ちている所が多々あった。
・兄ベンが犯人だとする理由が浅い。
・ベンが幼女達に悪戯していると言われ、母親は幼女達の家に確かめに行くが、ベンの写真を持って行く事もしない。
・主人公リビー役のセロンが真実に向かっても、自分に対する後悔の念などが一切出ない。兄への罪悪感が無い。
などなど。
もう少し脚本や映像などに工夫があれば上質なサスペンスになれたかもしれないだけに、ツッコミ何処を探す様なサスペンス映画化には少し残念。
シャーリーズ・セロン秀逸な演技
シャーリーズ・セロン
惨殺事件の遺族として寄付金が集まり、28年間働かずにいたリビー・デイ(セロン)。生活費にも困っていたリビーは、500ドル出すからと言うライル・ワース(ホルト)と会うことになった。
ベンは上訴もしなかったし、釈放を望んでなかった。当時の捜査資料も見せてもらい、ベンが少女にイタズラされていたことを知り、ライルと共にその被害者にもインタビューする。ベンにはディオンドラ(モレッツ)という17歳の恋人がいて、妊娠していたのだ。そんなベンが少女へイタズラした罪で追い詰められていた。そして、ヘビーメタルに憧れ、悪魔崇拝を信奉していたのだった。
結局、犯人は自殺志願者を殺すという男で、長姉のミシェルだけはディオンドラが首を絞めて殺していたという真相がわかり、ベンは釈放された。
唐突すぎる結末だったが、恋人とその子どもを庇うような格好でベンは刑に服していたという形。すっきりしないところもあるが、シャーリーズ・セロンの暗さが何となく良かった。
地味だか面白い
オカンがかわいそう
退屈。
シャーリーズが美しい
きれいな人って、どんな格好をしててもきれいですよね!
、、以前、モンスターって映画でどえらく太った時には度肝を抜かれましたが、この映画のシャーリーズ・セロンが本来の御姿ですよね。
内容はダークなものでしたが、こんなシチュエーションでは、見ていなかったことまで、見たような気がしてきてみんながそういうからそういうふうに思えてきて、、なんていう経緯があったんだろうなーとか、いろいろ考えながら見ていました。
思っていたオチとはちがうものでしたが、むしろそれでよかったです!
決して明るくはない内容の映画ですが、個人的には好きな内容でした。
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