劇場公開日 2016年12月17日

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「今の日本であれば撮れないタイプの反戦映画」ヒトラーの忘れもの めいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今の日本であれば撮れないタイプの反戦映画

2017年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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 アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた「ヒトラーの忘れもの」を観てきた。第二次世界対戦直後のデンマークで、ドイツ軍の捕虜だった少年兵達は、ナチスが海岸線に埋めた膨大な数の地雷撤去を命じられる。実話を元にした過酷な物語だった。
 少年兵達を地雷撤去させる任務についたデンマーク人軍曹は、ナチスに激しい憎しみを抱きながらも、少年兵たちが次々と命を落とすのを見、心を痛めるようになり、やがて彼らとの間に絆が芽生えていく…。死と隣り合わせの任務をさせられる少年達の絶望と、それでも希望を抱く姿に、心を揺さぶられた。

 すごいのは内容だけではなく、これがデンマークとドイツの合作映画で、デンマーク代表でアカデミー賞ノミネートされているということ。現代の排他的な空気とナショナリズムが高まる日本だったら、このような映画はおそらく撮れないのではないか。たとえば2017年に「戦場のメリークリスマス」みたいな映画を公開したとしたら?おそらく、反日映画だと騒がれそうな気がする。
 そんな現代日本に比べると、戦勝国でありながらも、自らの国家の加害を真摯に見つめ、描いた作品を制作し、アカデミー賞にノミネートされるデンマークという国は、日本に一歩も二歩も自省と反戦への姿勢が進んでいる。そこが純粋にすごいと思ってしまった。

めい