ニューヨーク 眺めのいい部屋売りますのレビュー・感想・評価
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街の息吹と名優ふたりのいぶし銀の魅力を堪能
「ウィンブルドン」(05)で爽やかな笑いと愛とドラマを紡いだ名匠が、今作では米ニューヨークを舞台に、愛らしくも胸に染み渡る夫婦の物語を紡ぎ出した。街はテロ騒動で大渋滞が続き、老いた愛犬は急病にかかって病院に担ぎ込まれ、そんな中で長年住み続けたアパートを売る手筈が進んでいく。かくも様々なハプニングに見舞われながらも、さすがモーガン・フリーマンとダイアン・キートン(両者ともにNYは第二の故郷)演じる夫婦は、まるで彼らの周りを世界が回転しているかのように常に微笑みを絶やさず悠然としている。そんな名優たちから滲み出る余裕が、劇中の夫婦がそれぞれ経てきた人生とも絶妙に折り重なり、全てが立体感を増していくかのよう。部屋とはその住人の内面世界の表れであり、その人が生きた証。室内に入った瞬間、その香りが視覚的に伝わってくる見事な美術、そして部屋から望む風景もまたこの映画の宝物というべき素晴らしいものだった。
老いていく寂しさと、一緒に歳を重ねる相手がいる幸せ
ウズベキスタンの男性と映画の関連性
家を買うときは買いたい意思を表す手紙を添えてオファーを出す(例:レスビアンのカップルがインドから赤ん坊の里親になることで、この眺めのいい部屋をその子供の部屋にしたい〜)家は人柄を表すし、前の持ち主やこれから買う人はどんな人か、重要になると考える人もいる。だから子供ができなく諦めたルースはレスビアンのカップルに住まいを売りたかった。
ルースとアレックスは結婚してから40年、ブルックリンのブリッジの見える眺めのいいアパートに住んでいるが、エレベーターがないので、5階まで( 5 flights up) あがるのがキツくなってきている。
それに、顕著にわかるが、住んでいる人たちが変わってきてもいる。タクシーのドアまで開けてくれる昔馴染みの店主もいれば、オープンハウスのため住まいを見にきているのに、スマホで仕事の交渉をしている人もいる。ブルックリンもヒップスターや現代っ子の町に変わりつつある。
二人が結婚したときは、他の州では異人種結婚は法律違反だったと。ルースは家族の賛成なしでアレックスと結婚したようだ。 二人の住まいの近所でさえ、人種偏見のある人がいる。
好きなところはこの長年連れ添ってきて、子供に恵まれなかった夫婦に会話があり、お互いをよく知っているし助け合っていて絆が強い。ここが一番の見所だと思う。
しかしそれより力強く正義感のあるシーンがある。新しい物件を購入することをアレックスが断るシーンだ。
ニュースでタンカーの運転手が捕まったと。 容疑者はウズベキスタンからで(モスリム教の国)〜このニュースは人々に9.11を思いおこさせる。それだけでなく、モスリムに対しての嫌悪感に結び付けて、この映画は進行している。それに、ルースのいとこのリリー、不動産屋はこの事件で物件が安
くなってしまうのを気にして、早く売りたがる。
ウズベキスタンの男性が捕まったことで、アレックスの反応はこの運転手はまだ子供だよと。 跪いて、降参している姿をみて、そう叫んだ。 しかし、アレックス夫婦が買おうとしていた物件の所有者の男の態度は『テロリスト』扱いで、ウズベキスタンの男性に罵声を叩きつけていた。アレックスは頭金を払うためにきたが、小切手にサインをせず、ルースとその場を去った。
私もこの映画を観ながら、急に怖くなった。 ウズベキスタンからの男性というだけで、 人々は
テロリストという偏見を持ち、この男性が、何をしたのか、誰なのが、などの事実もわからないのに、罵声を浴びせる。 それに、あるニューヨーカーで小売店に勤めている女性はこれを利用して、盗みを働き、ウズベキスタンの男性に罪をなすりつける。
アレックスは結婚して、40年間、いや、結婚する前から、 差別、偏見を経験しているから、ウズベキスタンの男性への扱いに感情が抑えられなかった。
40年前に戻ると、アレックスはルースをモデルとして絵をかいたとき、ルースに『飾らなくて、本物』と褒めたが、アレックスはこのとき、すでに、差別、偏見のない、ルースの性格がわかっていた。
【結婚後40年経って、変わった事と変わらないモノ。】
理想の夫婦
自己中な老人達の話
期待して観ただけに…
ほっと一息したいとき
部屋を売ることにした老夫婦、その顛末を描いた作品。ほんと、それだけで説明ができてしまうというシンプルさ。ま、こういうやわらかい映画もあっていい。
それにしても、ほんとのところどうか知らんが、ニューヨークのアパートて売り手市場なんだな、と。内覧会、入札に殺到。でも、1000万円くらい、てこと考えるとまあ安いのかもしれないし、ニューヨークなら物件古くても住みたい人も多いんだろう。
あんまりこれといった感想もない映画だが、ほっと一息したいときには合うと思う。
こんな夫婦良いね
愛着 vs 利便性
老後の住まいをどうするのかは、高齢社会においては切実な問題です。それについて、ユーモラスにドタバタ劇として描かれ、肩の力を抜いて見られる映画として仕上がっていました。
40年前に購入した集合住宅の家から見える景色はよく、近隣住民との関係も良好。まちは常に更新され、見知らぬ人や最新のお店は増え続けるが、それはそれで刺激的で楽しんでいる様子。とても愛着を感じています。
一方で、エレベーターのない家のため、毎日4階分を階段で上り下りするのが、加齢とともに徐々に辛くなってきています。また、愛犬の通院にもタクシーを使わなくてはいけないし、老犬であるため、調子が悪くなるたびに治療費がかさんでいます。画家である主人公の作品も売れなくなりつつあり、将来的な生計にも不安を覚えている様子です。
このような暮らしの状況の中で、引っ越すべきか暮らし続けるべきかを問い続けます。
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