劇場公開日 2016年1月30日

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「ウズベキスタンの男性と映画の関連性」ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ウズベキスタンの男性と映画の関連性

2021年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

家を買うときは買いたい意思を表す手紙を添えてオファーを出す(例:レスビアンのカップルがインドから赤ん坊の里親になることで、この眺めのいい部屋をその子供の部屋にしたい〜)家は人柄を表すし、前の持ち主やこれから買う人はどんな人か、重要になると考える人もいる。だから子供ができなく諦めたルースはレスビアンのカップルに住まいを売りたかった。

ルースとアレックスは結婚してから40年、ブルックリンのブリッジの見える眺めのいいアパートに住んでいるが、エレベーターがないので、5階まで( 5 flights up) あがるのがキツくなってきている。
それに、顕著にわかるが、住んでいる人たちが変わってきてもいる。タクシーのドアまで開けてくれる昔馴染みの店主もいれば、オープンハウスのため住まいを見にきているのに、スマホで仕事の交渉をしている人もいる。ブルックリンもヒップスターや現代っ子の町に変わりつつある。
二人が結婚したときは、他の州では異人種結婚は法律違反だったと。ルースは家族の賛成なしでアレックスと結婚したようだ。 二人の住まいの近所でさえ、人種偏見のある人がいる。

好きなところはこの長年連れ添ってきて、子供に恵まれなかった夫婦に会話があり、お互いをよく知っているし助け合っていて絆が強い。ここが一番の見所だと思う。
しかしそれより力強く正義感のあるシーンがある。新しい物件を購入することをアレックスが断るシーンだ。
ニュースでタンカーの運転手が捕まったと。 容疑者はウズベキスタンからで(モスリム教の国)〜このニュースは人々に9.11を思いおこさせる。それだけでなく、モスリムに対しての嫌悪感に結び付けて、この映画は進行している。それに、ルースのいとこのリリー、不動産屋はこの事件で物件が安
くなってしまうのを気にして、早く売りたがる。

ウズベキスタンの男性が捕まったことで、アレックスの反応はこの運転手はまだ子供だよと。 跪いて、降参している姿をみて、そう叫んだ。 しかし、アレックス夫婦が買おうとしていた物件の所有者の男の態度は『テロリスト』扱いで、ウズベキスタンの男性に罵声を叩きつけていた。アレックスは頭金を払うためにきたが、小切手にサインをせず、ルースとその場を去った。

私もこの映画を観ながら、急に怖くなった。 ウズベキスタンからの男性というだけで、 人々は
テロリストという偏見を持ち、この男性が、何をしたのか、誰なのが、などの事実もわからないのに、罵声を浴びせる。 それに、あるニューヨーカーで小売店に勤めている女性はこれを利用して、盗みを働き、ウズベキスタンの男性に罪をなすりつける。

アレックスは結婚して、40年間、いや、結婚する前から、 差別、偏見を経験しているから、ウズベキスタンの男性への扱いに感情が抑えられなかった。

40年前に戻ると、アレックスはルースをモデルとして絵をかいたとき、ルースに『飾らなくて、本物』と褒めたが、アレックスはこのとき、すでに、差別、偏見のない、ルースの性格がわかっていた。

Socialjustice