「名優×NYの風景」ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)
名優×NYの風景
NYは行った事がないけれど、こういう映画を観ていると行ってみたいなぁと思わされる。
老夫婦が新婚から40年住み続けたアパートを売る決心をする(実際には妻のみその気で、夫はなんとなく気が進まない)
40年連れ添った二人が作り上げた、二人の生活の詰まったアパートには、二人の思い出がたくさんあった。
老夫婦を演じたのはハリウッド映画の名優。
モーガン・フリーマンとダイアン・キートン。
二人の流石の存在感にホッとさせられ、安心をもらう。
二人の役もまた、落ち着いた愛に溢れた夫婦だったのが、映画の中で更に素敵に魅せてくれた。
その人にとって大切なものを、何も知らない人間がボロクソ言っているのを聞くととても悲しい気持ちになる。
そんな時でも常にアレックス(フリーマン)はユニークな冗談で切り返す。あぁいう余裕のあるおじいちゃんみたいな人に私もなりたいなと思う。
それから、橋がテロリストによって爆破される?みたいなニュースがNYの街を脅かしている中でも、常にアレックスは冷静。犯人と思われたイスラム教徒の男性が拘束されたニュースを見ながら言った若い人達の発言には嫌悪を抱いた。メディアは良い加減な情報をさも本当の事かのように流しているのも、今の日本、世界のあるあるだった。
ここでも、何も知らない人間が好き勝手言っていて、そこに愛は無い。それがとても悲しくなった。
それ故、アレックスと妻のルースが、自力で判断し決定したいと自分達だけで家探しをするシーンは特に良かった。
家を売る仲介業者にルースの姪であるリリーがいるのだが、彼女の夫婦や顧客とのやり取りはまさにビジネス。そこにその家に住んできた夫婦の想いや新しく家を探している人たちの想いなど温かみなどは皆無。
それと同じように、画家であるアレックスの描いた絵を物として扱う画廊の息子に対して、ルースがハッキリと自分の意見を言うところは痛快!
アレックスとルースが深く愛し合い結婚し、お互いを思いやり尊重している様は夫婦関係のお手本のようでした。
アレックスが最終的にサインをしなかったこと、夫婦が家の売買を通して、2人の絆をより深くしたことがとても素敵だった。