千年医師物語 ペルシアの彼方へのレビュー・感想・評価
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中世ペルシアにはロマンがある
有楽町のミニシアターで鑑賞したけど、なんでもっと大々的に公開しないのか不思議なくらいスケールの大きい傑作だと思った。
割礼をしてまで医学を追及する主人公の師であるイブン・シーナをベン・キングスレーが演じていてこれも良かったのだが、王としての気高さや悲哀を表現していたシャー役のオリヴィエ・マルティネスが特に良かった。
宗教と戦争と医学
原作本は未読、ベストセラーなんですね!読んでみたいけど映画よりずっと時間がかかりそう…。
アロマテラピーの学習をしていた時にイブン・シーナの名は目にしていました。植物芳香療法は外科的西洋医学が発展する前主流だったようです。
人体の仕組みを知りたくても宗教上の理由で許されず、またどこの国の人間かよりどの神を信仰しているかが重要な時代であったことを知りました。死をもたらす脇腹の病気が今の虫垂炎(盲腸) とは、解剖しない限りわからないことだと納得。
黒死病の患者を敵の城内に送り込むやり方は細菌兵器扱い?と言葉を失いました。
戦争は非人道的行為です。
現在のコロナ禍と同じように当時も対症療法しつつ観察して一つずつ要因を潰していく過程、医療従事者の命をかけた治療に頭が下がります。
昔の偉人は一つの能力に特化するスペシャリストより、天文学哲学芸術など多岐に渡って能力を発揮していて尊敬。その教えを書物や弟子が引き継いで現代まで紡がれているのですね。
大航海時代十字軍遠征で東西交流が盛んになり、知識も広がり医学も進歩しましたが戦争が交流の一因となるのは悲しい。
本作の主人公のように志ある若者の冒険は夢なのかな…それでも私にとっては良い夢でした☆
自分で割礼するシーンと、ペストの描写がやばい・・・
医学の歴史をじっくり描いた作品かと思っていたら、冒険スペクタクル満載のエンタメ作品だった。スカルスガルド演ずる“理髪師”は旅芸人風でもあるのですが、歯の治療や接骨医みたいな雰囲気で、土地によっては黒魔術師扱いもされている。ローマ帝国時代にある程度確立された医学も11世紀のイングランドでは廃れてしまったという解説とともに、実はイスラム世界では独自に発展を遂げていたという事実が興味深い。
弟子入りしたロブ・コールは苦難の旅の末、イブン・シーナが教えているイスファハンの大学に到着。クリスチャンであったロブがユダヤ人に成りすまし、名をエッサイと変えて医学を学ぶが、母親の死因でもあった脇腹の病を治す手段を探し求める。また、恋心を抱いていたレベッカとも再会するものの、彼女は結婚してしまい・・・といったストーリー。
イブン・シーナといえば、イスラム世界で医学の父とも呼ばれる世界史の中でも重要人物だったことを思い出す。哲学や天文学をも取り入れた神秘的な授業風景も印象的だったのですが、エッサイの探求心旺盛なところと、人の死を感じることができるところに親しみを抱き、王の謁見にも連れていき、信頼を獲得させるのだ。
宗教の違いはあれど、寛容的なイスラム教だったイスファハン。外敵でもあるセジュール人との抗争など、見どころ満載に仕上がっているのです。また、内部にも原理主義的な過激派が台頭する様子、宗教的・政治的な面でも面白い内容。なんといってもイスファハンに黒死病パンデミックが起こるところがメインとも言えるのですが、毎日の死亡者数を書き込んでグラフにしたり、ロックダウンしたり、原因究明のため遺体のチェックや感染ルートを調べるところは、コロナのニュース漬けになっている今だと非常に理解しやすい。
眼をそむけたくなるような解剖・手術シーンなどもありますが、痛い!と感じる場面が多すぎるかもしれません。発展させるべき医学・医学者を称えるようなストーリーではあるけど、かなりのめり込んで見てしまいました。
娯楽時代劇
イングランドとペルシアを舞台とした
(西洋版)娯楽時代劇。
イブン・シーナという歴史上の人物は登場するものの、
史実だなんて思ってはいけない。
愛と冒険の大河ドラマ。
あるいは年末年始スペシャル時代劇だと思えばいい。
堅いこと言わなければ、楽しめる。
そもそもペルシアでも全員が英語しゃべるし
(まあ英語版吹き替えと思えばいい)
上映時間2時間半と長い割には飽きさせず、
心理的には長いと感じなかった。
(でも尻は正直。痛くなった)
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