「チリの理想郷とも言える社会主義政権の終焉」チリの闘い 武器なき民の抵抗 エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 チリの理想郷とも言える社会主義政権の終焉

2025年12月11日
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鑑賞方法:映画館

チリのパトリシオ・グスマン監督が、70年代前半のチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を記録した奇跡のドキュメンタリー。

観る我々はとんでもない史実を目の当たりにすることになる。

1970年に世界で初めて選挙で選ばれたサルバドール・アジェンデの社会主義政権。アジェンデ大統領は人民連合を率いて農地改革や鉱山の国有化などを行い労働者や貧困層の圧倒的な支持を得た。

今作はアジェンデ政権が1973年9月11日の軍事クーデターに倒れるまでの最後の数ヶ月をとらえた。

左派の選挙での勝利、国会での攻防、右派のストライキや妨害工作による民衆の困窮。窮地に陥ったアジェンデを守ったのは民衆だった。武器を持たない彼らの意識の高さが力になった。

アジェンデ政権は安泰かと思われたが。

東西冷戦下にあり社会主義を良しとしないアメリカ政府の支援を受けた軍部のクーデターがすべてを壊した。空爆により崩落する大統領府、アジェンデ大統領の自殺、軍事独裁政権の誕生。

高揚する民衆の姿を感動的に記録したグスマン監督にとって、このような悲劇で終焉を迎えるとは思ってもいなかっただろう。

エロくそチキン2