「ソウルフル!」レヴェナント 蘇えりし者 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
ソウルフル!
僕はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥという監督を誤解していたのかもしれない。ストーリーを、テクニックを駆使して語ることを専門にしていると思っていた。「アモーレス・ペロス」しかり「21グラム」しかり「バベル」しかり、あの「バードマン」しかり。
しかし本作はまったく違っていた。魂の叫びの映画であった。
毛皮をとりに森の奥深くに分け入った隊は、そこの原住民に襲われその場を離れてしまう。
その途中、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はグリズリーに襲われ、瀕死の重傷を負う。
グラスの処遇をめぐるいざこざで、グラスの息子はフィッツジェラルド(トム・ハーディ)に殺され、グラスも森の中に置き去りにされてしまう。
ここからグラスのサバイバルが始まる。
セリフのほとんどないディカプリオの芝居は、鬼気迫るものがあって、これまでの俳優人生を投げ打ってでもという気迫に満ちたものであった。そうでなければこの役は体現できなかっただろうし、映画も成功しなかったであろう。
グリズリーに襲われるシーンはおそらく長回しだったと思うのだが、そんなこと気にしていられない迫力があった。
このような映画を企画し撮りきってしまうイニャリトゥの映画屋魂に完全にやられた。
「バードマン」より遥かに上出来だ。
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