「小さな主語で、ひとりひとりの生きて死ぬ道」タレンタイム 優しい歌 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
小さな主語で、ひとりひとりの生きて死ぬ道
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マレーシア、いわゆる多民族国家、他言語国家。
異なる言葉、文化で暮らす人々、家族のありようも障がいなどの有無、などなどをすっぽりと包み込むような社会であり国のようだ。
さまざまな形の家族という単位、
しかしその家族という単位の中で、個人として、一人の人間としていかに生きるか。
それができてない家族というか親も中にはいて、中国人の男の子は成績トップでないと父親に殴られているし、異なる宗教を普段は仲良く社会の中で暮らしているが身内の結婚となると認められなくて、いざ偏見に囚われ子は付属物のように扱われていたり、それが連鎖して次の不幸をよんだり、本当に愛情と尊敬を持って血縁でないものも巻き込んで暮らすヒロイン(ピアノ弾き語りで歌う女の子)家族とのコントラスト。
トラブルやうまくいかないこともあるけど、それそれの信仰や、血縁であるかないかなどに関わらず、思い込み、偏見のその先には、謎の車椅子の男が、いつも飛んでいる、と言っていたがまさにちょっとした助走で飛び越え飛び出して、腕を広げ眼差しを交わし合うことで豊かな世界が広がる。 父親に殴られそれを成績の良い子のせいにして捻くれていた子が、母親を病気で亡くした子に寄り添い音楽コンテストで美しい音を奏でる、バイクの子に恋して唄にさらに磨きがかかった女の子は当日歌えない。乗り越えたり乗り越えられなかったり、寄り添ったり寄り添えなかったりの、陳腐な言葉だが豊かな多様性と思える、日本にはなかなか今はないものがここにあるって感じ。
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