ロシアン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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気持ちを丁寧に描いた良作
小説の「同志少女よ、敵を撃て」つながりで観た映画だが、こちらも気持ちを丁寧に描いた良作だった。
ルーズベルト夫人の回想シーンが戦場シーンと交互に入る構成が、戦闘が苦手なわたしには助かった。(主人公リュドミラの心情を語らせる仕組みとしても、もちろん良い)
主人公が309人を倒した名狙撃手でありながら、戦いに溺れず、戦場でも恋をしたり、友達と楽しげに話す姿がよい。これはリュドミラの学生時代からの落ち着いた度胸のある性格ゆえかなと思った。弱い人ほど、戦いの雰囲気に飲まれていってしまうのかも。
終盤、三人の恋人を戦争で失い、軍の宣伝に使われ疲れていく主人公の様子に胸打たれた。良い役者だなと思った。
リアリズムが凄いですね!!
戦場がこれもウクライナです。射撃の腕を買われてスナイパーになった主人公が、プロパガンダに利用され、3人も愛する男を失って、最後はどうなるかと思ったけど、幸せになれたのが、せめてもの救いでした。爆撃や戦闘シーンのリアリズムが凄く、自分がそこにいる気分になってしまいます。
負傷しても何度も前線に戻されて、軍医ボリスを初めとする3人の男達に守られるリュドミラが痛々しかった。
ナチス兵309名を射殺した実在のソ連女性狙撃手の取り憑かれた様な血まみれ土まみれの姿
ナチス兵309名を射殺した実在のソ連女性狙撃手リュドミラ・パブリチェンコの戦いを描いている。途中から愛する同僚を殺されたことへの復讐心を持って狙撃する取り憑かれた様な姿を、冷徹な美貌ながら血まみれ・土まみれで演じたユリア・ペレシドがとても魅力的であった。
決して過度な英雄視はせず、彼女の名声や人気・アピール力を利用するソ連軍や政治家の姿を静かに描いていて好感を持った。そして彼女自身も友人も愛する男たちが戦鬪で奪われていき、戦争の非常理・惨さを伝える。
報われないまま、大きな愛でずっとユリアを見守る医師ニキータ・タラスフの姿、脱出させた彼女以外の殆どの軍人が亡くなったというクリミア半島のセヴォストポリ陥落の闘いの激しさに、心打たれる。
セルゲイ・モクリツキー監督による2015年製作のロシア・ウクライナ合作。
脚本はセルゲイ・モクリツキー、マキシム・バダリン、イゴール・オレショフ。撮影はユーリー・コロル、音楽はエフゲニー・ガルペリン。
出演はユリア・ペレシド、ニキータ・タラスフ、エフゲニー・ツィガーノフ、オレグ・ヴァシリコフ、ジョアン・ブラックハム、ポリーナ・パクホモヴァ。
転がる人生
第2次世界大戦で実在した伝説の女性スナイパー、リュドミラの話。
友人達と行った射撃場でスナイパーの素質を見出され、厳しい訓練ののちにあれよあれよと言う間に戦争に駆り出される。戦火の中、ナチを309人も殺し、大事な人が次々と亡くなったり失われていったりして、精神的にも限界を迎える。しかしソビエトという国は転がり続ける彼女の人生を休ませることを許さない。
そのタイトルからアメリカンスナイパーと比べられがちだが、アメリカンスナイパーが精神を蝕まられた末の悲劇の男とすると、ロシアンスナイパーには戦場を生き抜いた女の強さが感じられた。
切ない
現代では体験し得ない悲しい時代を生きた女性。
父から愛情を貰えなかったから、愛に目覚めた衝撃は人一倍あったと思う。
切ない。
医者はかわいそうだったけど、強い男が好きなんだろうね。
最後は夫人に救われてよかったね。
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