劇場公開日 2015年12月23日

  • 予告編を見る

「二つの闘い」クリード チャンプを継ぐ男 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5二つの闘い

2022年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

学生時代から観続けてきたロッキーシリーズだが、ロッキー役のスタローンも歳だし、新作はもう観られないと諦めていたので、ロッキーの宿敵であったアポロの息子(クリード)を主人公にして、シリーズが復活して嬉しかった。しかし、果たして、ロッキー=スタローンといイメージが定着しているシリーズで、主役交代はうまくいくのかと危惧しながら鑑賞した。

今作はシリーズ第1作を下敷きにしているが、第1作に比べ、ストーリーが斬新になったわけではない。どんでん返しが新設されたわけでもない。主人公である若いボクサーが世界チャンピオンとの戦いというビッグチャンスに果敢に挑んでいくという第1作と同様にベタではあるがワクワクさせられる物語が展開されていく。

しかし、登場人物のキャラクターが個性的、明確であり、第1作の模倣になっていないので、第1作とは異なる感動と勇気がもらえる。また、山場のボクシングの試合シーンでは、ボクサーに最接近した映像で、リングの上に立っているかのような臨場感が半端なく、ボクシングという格闘技の壮絶さに圧倒される。

今まで主役を演じることが多く、最近は今一つ冴えない感じのスタローンが、今作ではセコンドという脇役に廻っているが、輝きを取り戻した素晴らしい演技を披露している。やはり、ロッキーシリーズはスタローンの原点であることを再認識させられた。達観した雰囲気で、自身の病魔と主人公を強者に導くという二つの闘いに挑んでいく姿がとても印象的である。特にラストの試合中にセコンドとして主人公を励ます、経験に裏打ちされた言葉の一つ一つがずしりと強く胸に響く。

ロッキーの教えを受けたクリードの今後のスクリーンでの活躍に期待したい。

みかずき