劇場公開日 2015年12月23日

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「想像の範囲を一歩も出ない」クリード チャンプを継ぐ男 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0想像の範囲を一歩も出ない

2022年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

スタローンは「ランボー」シリーズを夢中になって追いかけ、3ですっかり冷め、「ロッキー」は始めから乗りそこなった感もあったので、あのテーマ曲も含め、何ひとつ刺さらなかった映画なんです。私には。それでもドラコが出てくるまでは見ていたので、私生活も含めスタローンがモンスター化していく過程が映画以上に興味深かったせいでしょう。

その分、このシリーズになんの思い入れもなく、フラットに見ることが出来たのですが、正直に言って、想像した通りの展開で、ここまで予想を裏切ることなくラストまですんなり納まった映画も珍しいと思ったほどでした。

まず、主人公のクリードに感情移入できる要素が無いこと。例えば、エイドリアンに惚れているのに相手にされない、ボクサー崩れの用心棒が、一念発起してチャンスをものにするサクセスストーリーであれば、自分を投影して応援したくもなるでしょうが、協調性の無いまま育った男がきちんと教育を受けたのち、内なる衝動に勝てないままリングに上がり、勝って得るものがあるとは思えない戦いを淡々と見せられても。

ロッキーのトレーナーぶりにもなんの説得力もなく、劇中で病死してしまうのかと思いきや、そこは続編作る気満々だな。というお茶の濁し方。

戦いには、失うものが大きいほどドラマ性が盛り上がって、勝利した時のカタルシスもより大きいものになるという法則がある。いったい彼らは、負けた時何を失うというのか。

余談ですが、「マイティ・ソー」で、あんなに強そうなヴァルキリーを演じたテッサ・トンプソンがクリードのガールフレンド役で出てますね。結構可愛らしい役で。それはそれでまた面白い。

「マッドマックス」「ブレードランナー」「猿の惑星」など、かつての名作の世界観を踏襲して続編を製作するのがトレンドになっているようですが。私はどれひとつとして、成功していないと思います。オールドファンは納得しても、新規にファンを得られていないからです。どのプロジェクトも後ろ向きなんですよね。

この映画もそう。くどいほどていねいに、踏襲するものにこだわって、新しいものを生み出せていない残念な出来栄えでした。

2018.10.11

うそつきカモメ